今日の日経夕刊の中ほど証券面の囲み記事で、連合がファンドなどが主導する企業再編に関して、労組に拒否権を与える法改正を志向していることが小さく載っていました。
これは中々狡猾で、経営者にとっても究極の買収防衛策になりうるので、危険な誘惑があるやも知れません。しかし労組と経営側が馴れ合う会社というのは、とてつもなく腐敗して、株主債権者をないがしろにするにとどまらず、結局会社自体がつぶれる傾向があるので、是非ともよく考えて判断しないといけません。
現在の不況のせいでハゲタカファンドによる買収の脅威は鳴りを潜めていること、会社にとってはむしろ自らが不況を生き残るために労働条件の引下げを容易に出来るようになっている方がありがたいことから、連合の提案に魅力を感じないかもしれません。ということで杞憂に終わることも十分にありえるのですが、連合と民主党の蜜月ぶりは目に余るくらいですので、注意はしておくに越したことはないでしょう。
会社法で特段の地位を与えられているわけでもない労働組合に拒否権を与えるなんて、法的には全く持って筋が通らない話ですが、法的におかしな話というのは本質的にもおかしいことが多いので、ここはやはり法的に通らない主張には厳しく対処するべきでしょう。
ちなみに労働者が経営に参画できる例としてよくドイツ会社法があげられます。ドイツでは監査役会の役割が非常に大きく、そこに労働組合が入っているのです。
しかし実態はやや異なり、労働組合を経営にはいれないためにああしているという側面があり、監査役会も最終的に割れた場合は経営側が決められます。よってガス抜きをしているだけという指摘があります。
連合は短絡的に例を引いてきたりとか、奇妙な原理原則論を出してきてしかも間違っていることがあるので、よく注意しましょう。
労働契約法の審議過程では、労働契約法に就業規則の不利益変更法理が明定されましたが、これに反対するために、「契約の基本は合意である」ということをお経のように唱えていました。
労働法は、力関係の異なる当事者間での合意は信用しないというところが出発点で、そのために合理性審査をして内容に介入するという工夫をしてきました。いくつかの判例ではそのおかげで労働者が救われた例もあるわけです。それなのに合意が大原則だなどといったら、力関係で押し切られることを招来するだけなのにその点は全く考えていないようでした。反論するにももう少し構成があると思うのですがね。
ということで、また同じようなことが起きる可能性があるのではないかなと思ったりするのです。