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2014年3月 9日 (日)

最高裁,権利能力なき社団に,その社団の構成員に総有的に帰属する土地について,その社団の代表者名義への移転登記を請求する訴訟の当事者適格があると判示

何を言っているのか判然としないタイトルで申し訳ありません。しかし,民事訴訟法の基礎的な分野について興味深い判例がでましたので,取り上げます。

民事訴訟法の教科書的な問題として,当事者能力というテーマがあります。

権利能力なき社団については,民事訴訟法で当事者能力が認められているのに,権利能力なき社団はその名前の通り権利能力の主体になることができないので,訴訟をすることができるといわれてもいったい何の実益があるのか,どのような訴訟ならできるのかが問題となるために論点として議論の蓄積がある分野です。

紛争の局面に即して述べると,権利能力がないわけですから,権利能力なき社団で財産を持つ場合には,代表者の個人名義になるわけですが,その財産をめぐり訴訟の必要性があった場合,誰が訴訟を提起するべきなのかが問題となるわけです。

司法試験の短答知識ですが,最高裁は,代表者が自己名義への引渡しを請求訴訟をするべきといったことがありまして(最判昭和47年6月2日民集26巻5号957頁),このことの反射的な効果として,社団自身が原告になることには否定的な理解がされてきました。

要するに代表者がやらないといけないというわけですが,すると民事訴訟法上,権利能力なき社団に当事者能力を与えた意味がおよそなくなってしまいます。

この考え方の背景には,権利能力なき社団の財産にかかわる請求権自身は,社団に権利能力がないので帰属せず,訴訟担当を認めるにしても,例えば登記請求権では代表者個人という主体がいるのに,訴訟担当を認めることができるのかという訴訟要件の問題があったためです。

もっとも,判例は,入会権について代表者の訴訟追行について授権を要するとしていることから,社団の性格から当事者適格を認めることで訴訟担当構成を許容する余地があるともいえました。

そのような中,権利能力なき社団に,代表者への移転登記請求訴訟を行うことについての,当事者適格を正面から認めた判例がでました。

最高裁判所第一小法廷平成26年02月27日判決 平成23(受)2196 所有権移転登記手続等請求事件

そもそもの原因は,代表者の交替に伴う登記の移転が必要になったためであるようなのですが,本件ではあまり法律論に関わってこないので省略します。

最高裁の理由づけは,正面からは,実質的には社団が所有しているといえるので,訴訟追行を認めた方が簡明であり,当事者の意思にも合致するということです。

このほかに補強的な材料として,上記の昭和47年判決も,社団が代表者名義への請求をすることについてはブランクであることにも触れています。

したがって,最高裁は実質的には社団が所有しているということから,訴訟の有効性は認めたわけですが,権利能力の主体ではないというところは維持しているため,当事者適格があるという構成にしているわけです。

しかし,結果を実現するのに,それで十分かということを考えると,逆に当事者適格を否定する事情となりかねないために,執行の場面についても若干触れてフォローをしています。

権利能力なき社団の訴訟の判決効は,構成員全員に及ぶため,代表者はこの判決から直ちに自己への移転登記請求ができるとして,問題はないことに触れています。

従来からの延長上の範囲内で合理的に解決を図るという意味で,当事者適格構成を最高裁が採用したということであり,理論的には批判がありうるところでしょうが,実態としては妥当なところなのだと思われます。

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