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2014年9月

2014年9月29日 (月)

日立、全世界で共通の人事制度を構築。管理職に世界共通のグレード制度を導入して日本国内の管理職の賃金から年功的要素を廃止

報道では日立の管理職が年功序列を廃止という衝撃的な見出しをつけて取り上げられましたが、日立が世界の管理職の処遇を共通化することで日本国内に限ると年功的な要素がなくなったことが明らかになりました。

   
   

日立、世界共通の賃金制度導入 年功序列見直しで 競争力アップ+(1/2ページ) - MSN産経ニュース 2014.9.26 23:23

     

電機など大手企業で年功序列制度から、仕事の内容や成果に応じた賃金制度を本格導入する動きが相次いでいる。日立製作所は26日、10月から国内の課長級以上の管理職を対象に、仕事の内容や成果に応じた人事・賃金制度を導入すると発表した。大手企業の一部はかつて、コスト削減の一環として成果主義の賃金制度を導入したが、評価法などの難しさから取りやめたところも多い。今回の動きは、事業のグローバル化が急速に進展する中、賃金制度を世界基準にしないと競争力確保が難しくなったという側面が大きい。

     

日立の現行の賃金制度は、年齢や勤続年数などに応じた資格や職位を基準とする年功序列の色彩の強いものだった。10月からは世界共通の指針に沿い、自身が今担っている仕事内容や責任の重さなどに照らした目標を設定し、その成果を直接給与や昇級などに反映させる仕組みに変更する。

     

対象となるのは、日立の国内全社員の3分の1に相当する約1万1千人の管理職で、今後、一般社員などへの拡大も視野に入れる。

     

(略)

   

ニュースリリース:2014年9月26日:日立

   

人事制度は賃金制度と連動していることが多いので、理念的には別物でも実質的には表裏一体となっていることが実際です。

   

端的に言うと、日立の管理職の人事制度は、すでに日本の伝統的な職能等級制度からは脱皮していましたが、資格給と職位加算給の合体という内容であったとのことです。

   

これは、上記リリース内の説明からうかがわれる限りでは、職能資格制度と、アメリカで生まれた職務等級制度を日本風にアレンジした役割等級制度の中間程度のものであったようです。しかし、それでもまだ整理しきれていない職位があるなどの理由から、役割等級で全世界の仕事を貫くことで役割に応じて賃金を支給する仕組みを全世界で展開することになるもようです。

   

もっとも、役割等級制度を日本で導入している企業はすでに出ていますが、その運用の実際には年功序列的な様相を呈している例があることがすでに指摘されているところです。

   

やはり重要になってくるのは運用であり、特に人事考課制度における基準とその評価が極めて重要になってくると思われます。

   

日立が年功序列を廃止というと衝撃的に聞こえますが、本当にそういえるかは運用の実際が明らかになってからというところが実際のところでしょう。

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2014年9月15日 (月)

法務省、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」を公表

法務省から8月26日の法制審議会 民法(債権関係)部会で、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」が決定されました。

法務省:「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」(平成26年8月26日決定)

民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案

なお案の段階での補充説明も公開されています。

民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案(案)補充説明

内容については別の記事で取り上げたいと思います。

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宮城県、みなし仮設住宅の賃貸借が終了したものの退去しないとして、入居者を提訴へ

東日本大震災後の対応として、民間の賃貸住宅を地方自治体が借り上げて、そこに被災者に入居させ、それを仮設住宅と同様の取扱をして、賃料などが公費負担になっているものをみなし仮設住宅(応急仮設住宅)というそうです。

 

このみなし仮設住宅で、もともとの賃貸借契約が終了したのに入居者が退去しないとして、宮城県が入居者に、建物からの退去明渡しと賃料相当損害金の支払いを求めて提訴したことが明らかになりました。

 
   

宮城県が「みなし仮設住宅」退去求め提訴 被災3県で初、男性2人に - MSN産経ニュース 2014.9.8 12:07

   

東日本大震災で民間賃貸住宅を行政が借り上げる「みなし仮設住宅」の定期賃貸借契約の期間が終了したのに、退去しないのは契約違反だとして、宮城県が入居者の男性2人に明け渡しなどを求める訴えを、仙台地裁と同地裁石巻支部に起こしたことが8日、分かった。

   

宮城県によると、岩手、福島を含む被災3県で、自治体がみなし仮設の入居者に退去を求めて提訴したのは初めて。

   

(略)

   

入居を続けるには貸主と入居者双方の同意が必要だが、貸主が再契約をしないと通告。県が別の仮設住宅への転居を案内しようとしても2人は応じず、建物の明け渡しと契約終了後の家賃の支払いを求めている。

 

応急仮設住宅(民間賃貸住宅)の基本的な仕組み - 宮城県公式ウェブサイト

 

そもそも震災対応の特殊な制度であり一般的な賃貸借の法理に乗せるのに相応しくないかもしれませんし、仮に乗せたとしても、報道によるともとの行政による借り上げが、定期借家であったと見受けられますので、その時点で特殊事情があるといえそうです。

 

賃貸借の議論においては、賃貸借の目的物が転貸されている場合、賃貸人と賃借人が合意解約しても、転借人には対抗できないという大審院判例があります。ここからいくと、元の賃貸借契約が入居者のあずかり知らぬところで終了してしまっても対抗できることになりそうです。

 

しかし、大審院判例は合意解約を対抗できないとしたものであるため、本件は定期借家であることがこれらの判例と比べても異なります。また判例は、サブリースに関して、終了をテナントに対抗できないとしたことがありますが、これは賃貸人がサブリースという仕組み上、最初から承諾しているはずというところに根拠が求められています。本件は、あくまで震災対応の応急措置的なものである点、定期借家という形式をとっている点から行くと、承諾をしていたというところまでは求められないことから、やはり、一般的な賃貸借の議論に照らしても入居者には難しいのではないかと考えられます。

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2014年9月14日 (日)

土浦労働基準監督署、最低賃金法違反で常陽新聞新社と当時の社長を送検

最低賃金法違反で労基署が送検するという事態が生じたことが明らかになりましたので取り上げます。

 
   

常陽新聞新社、賃金不払い容疑で書類送検 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2014年09月10日 13時34分

   

土浦労働基準監督署は10日、茨城県で昨年8月まで日刊紙「常陽新聞」を発行していた常陽新聞新社(本社・茨城県土浦市)と、同社の当時の社長(59)を最低賃金法違反(賃金不払い)の疑いで水戸地検土浦支部に書類送検した。

   

発表によると、社長は従業員24人に対し、昨年2月~7月分の最低賃金計約987万円を支払わなかった疑い。同社は昨年8月30日に水戸地裁土浦支部に破産を申し立て、事業をやめた。

   

(略)

 

要するに労働基準監督署が入ったというパターンだと思われますが、そもそもの原因は経営不振とうによって賃金の支払いが行われなくなり、支払わないと最低賃金を下回るのは明らかですので、それに基づいて監査が入ったということなのだと思われます。

 

労働基準監督署は労働基準法違反などの法違反の事実を認めたときはまずその状態の是正を求める行政指導を行いますが、破産状態ということですとそれは無理ということで、刑罰権発動を促すことになったということになりましょう。

 

書類送検というと、普通の刑事事件ですとなんとなく軽いイメージがありますが、労働基準監督署からの送検の場合には検察官による公判請求につながることが多く、かなりの重みがあります。

 

労働基準監督署の実務の扱いの一端が見える一件であるように思われます。

 

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大阪地裁、市職員の労働組合が提起した大阪市による市庁舎内の事務所の使用不許可処分の取消訴訟で請求を認容して、処分を取消

橋下市長になってから大阪市において、市職員労組との対立的な出来事がいくつか起きましたがそのうちの一つに、労働組合の事務所を市庁舎内から退去させたというものがありました。

 

この件について、取消訴訟が提起されていましたが、大阪地裁は組合側の請求を認めて、処分の取り消しのほか損害賠償も認めました。

 
   

大阪市労組事務所、退去の取り消し命じる判決 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 2014年09月11日 00時57分

   

大阪市が市役所庁舎から職員労働組合の事務所を退去させたことの是非が争われた2件の訴訟の判決で、大阪地裁は10日、市労働組合連合会(市労連)など計8団体の訴えを認め、市に退去の取り消しと計約410万円の損害賠償などを命じた。

   

中垣内なかがいと健治裁判長は「事務所を退去させるのは、憲法が保障する職員の団結権の侵害。市長の裁量権を逸脱、乱用しており、違法だ」と述べた。

   

橋下徹市長と労働組合の対立を巡る司法判断は初めて。市は、組合への便宜供与を禁じる条例を退去の根拠にしていたが、判決は「違法行為を適法とするための条例の運用は違憲で、無効」と言及した。

   

判決によると、8団体は1982年以降、市の許可を受け、庁舎地下1階の6部屋を事務所として使っていたが、市は2012年1月、「行政事務のスペースが足りない」として同年3月末での退去を通告。6団体が応じ、空き部屋には市の各局が入った。残る2団体は通告に従わず、現在も部屋を使用している。

   

判決は、11年12月の就任当時、橋下市長は使用を許可する意向だったが、組合が同年の市長選で対立候補を支援するため庁舎内で政治活動をしたと市議会で指摘された直後、方針転換したと認定。「行政事務のスペース不足ではなく、政治活動の防止が目的。組合活動に著しい支障が生じると認識し、団結権を侵害する意図があった」とした。

   

そのうえで「事務所で政治活動があった証拠はなく、退去は社会通念に照らして著しく妥当性を欠く」として、6団体に対する庁舎使用の不許可処分を取り消し、庁舎に残る2団体についても今年度の部屋の使用を許可するよう命じた。

   

(略)

   

労使間の争いを解決する機関には裁判所と別に労働委員会があり、大阪府労働委員会は今年2月、事務所退去を不当労働行為と認定。市が中央労働委員会に再審査を申し立てている。

   

(略)

 

使用者から労働組合への便宜供与は、労働組合性を失わせるという意味で許されませんが、必要最低限の組合事務所の貸与は例外とされています。

 

そのため、一般的な会社において、これまで貸与してきたものをいきなり退去させたとなれば、不当労働行為になることは堅いと思われます。しかし、本件の特殊性は、あくまで民主な統制に服する地方自治体においてのことであり、特に便宜供与を禁止する条例があるという点にあります。

 

それでも、便宜供与にそもそも当たらないと解されていることからすれば、やはり不当労働行為ということになるでしょう。判決全文は確認できていませんが、上記報道によると、事実認定において、当初は許可の意向だったのに一転したなどの事実が指摘されていることから、不当労働行為の意思があったので、権限の濫用があるのだという構成になっているものと思われます。ここからいくと、便宜供与ではあるが権限行使は濫用という構成をとっていると推測されるところです。

 

あくまで行政処分の取消訴訟であるという点に配慮した構成をしているのではないかと思われます。もっとも、行政上の必要性がある公の施設において貸与を続けないといけないのかは、別の問題であり、本件の構成をかんがみると、事情によっては組合事務所を貸与しなくても不当労働行為にはならない場面がありうるものと思われます。

 

裁判例情報

 

大阪地裁平成26年9月10日判決

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NSD、株式の無償割当てを実施へ 自己株式を活用しての無償割当ては初

東証一部上場のシステム開発のNSDが、株式の無償割当てを実施することが明らかになりました。

 

株式の無償割当てとは、会社法で誕生した制度で、株主に払い込みなしで株式を割り当てるものです。

 

NSDのプレスリリース

 

この無償割当ての特徴は、複数ありますが、そのうち、異なる種類の株式を割り当ててもよいこと、割り当てるのは新株を発行しても自己株式でもどちらもよいという点があります。

 
   

第185条(株式無償割当て)       
株式会社は、株主(種類株式発行会社にあっては、ある種類の種類株主)に対して新たに払込みをさせないで当該株式会社の株式の割当て(以下この款において「株式無償割当て」という。)をすることができる。

   

第186条(株式無償割当てに関する事項の決定)       
株式会社は、株式無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。      
一 株主に割り当てる株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法      
二 当該株式無償割当てがその効力を生ずる日      
三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該株式無償割当てを受ける株主の有する株式の種類      
2 前項第一号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の株式を割り当てることを内容とするものでなければならない。      
3 第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。      

 

新株発行をして種類株式を無償割当てした例が伊藤園でありますが、このNSDの事例で特徴的なのは、自己株式を用いて割り当てるという点であり、日経の報道によると初であるとされています。

 

なお、上記リリース中に記述がありますが、本件についても基準日が設定されています。株式分割では、基準日の設定が法律上必要ですが、無償割当てでは必要ではありません。しかし、実務上の必要性から基準日の設定はした方がよいことは当然予想されるわけで、本件もその例に漏れない模様です。

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2014年9月 9日 (火)

福島第一原発で作業に当たっている下請会社の原発作業員、危険手当の支払いがないとして下請会社のほか東電も提訴

福島第一原発で作業に当たっている下請企業に雇用されている作業員が、危険手当が払われていないとして、雇用主である下請け企業のほか東電まで提訴したことが明らかになりました。

 
   

福島原発作業員が東電提訴、危険手当など未払いで約6200万円請求| Reuters 2014年 09月 3日 17:10 JST

   

[いわき市/東京 3日 ロイター] - 東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)福島第1原発の事故処理で危険手当など所定の賃金が支払われなかったとして、作業員2人と元作業員2人が3日、東電とその協力企業を提訴した。東電と下請けを含む協力企業合計17社に対し、未払いの危険手当や残業代約6200万円の支払いを求めている。

   

作業員らが訴えたのは東電のほか鹿島(1812.T: 株価, ニュース, レポート)、太平電業(1968.T: 株価, ニュース, レポート)など。訴状では、「東電から下請け企業に対して支払われている危険手当は、原告ら末端の労働者には行き届いておらず、中間搾取が放置されている」などと主張している。

   

(略)

   

提訴後、原告2人が都内で記者会見した。現在も福島第1原発で作業に従事する55歳の男性は、多重の下請け会社が作業員確保の過程に介在する中で危険手当が中抜きされている現状を告発した。

   

「(作業員確保で)口利きしただけで(危険手当の)何割かをむしり取っていく悪質な業者があまりにも多すぎる。東電には(現状を)改めていただきたい」と訴えた。

 

上記報道を見る限り、偽装請負などと同じ問題構造で東電との雇用関係の確認を求めるというものではなく、下請け構造が介在することで、東電からの報酬が減っていくことを問題視しているようです。

 

すると、危険手当なるいかにも賃金の一部らしきものを東電が支払っているのに勝手に目減りしているという話題とは若干異なる可能性があります。作業員の賃金を決めるのはあくまで雇用主である下請け企業であるため、東電の支払った報酬がそのままいかないといけないというわけではないのが原則となるからです。

 

一方で、建設業の場合、労務費は社会保険料なども含めて支払うようになどということが指導されており、その限りでは発注と下請けの関係を超えて、そのままの支払いが認められる場面もありますが、原発事故対応の作業の場合にはどうなるのでしょうか。

 

危険手当をそのまま支給するように東電が求めて報酬を支払っているのかどうかもわかりませんし、そもそもそれが守られなかったとして当然にどのような行為が取れるのか、義務があるのかなどは、なおさら難しい問題であるような気がします。

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2014年9月 8日 (月)

札幌地裁、店舗側による食べログの投稿情報削除請求を認めず

食べログに掲載された投稿内容等の削除を求める請求について、札幌地裁が請求を棄却していたことが明らかになりました。

食べログ掲載の投稿情報、削除認めず 札幌地裁判決 :日本経済新聞 2014/9/4 21:36

飲食店の利用者が感想を投稿するグルメサイトに事実と違う内容を投稿されたとして、札幌市の飲食店経営会社が、「食べログ」を運営するカカクコムに店舗情報の削除などを求めた訴訟の判決で、札幌地裁は4日、請求を棄却した。原告側は控訴を検討する。

判決理由で長谷川恭弘裁判長は「原告の会社は法人であり、広く一般人を対象に飲食店を営業しているのだから、自己の情報を『個人』と同じようにコントロールする権利はない」と指摘。

さらに「原告の請求を認めれば、情報が掲載される媒体を選択し、望まない場合は掲載を拒絶する自由を原告に与えることになる。他人の表現行為や得られる情報が恣意的に制限されることにもなり、容認できない」との判断を示した。

判決によると、飲食店は北広島市にあり、「料理が出るまで長時間待たされた」との投稿が食べログに寄せられた。(略)

判決の構成は、表現の自由及び自己情報コントロール権に基づいており、根拠がかなり固いことが特徴的です。法人だから自己情報コントロール権がないというくだりだけだと、個人事業主の場合にやや気になるところが出てきますが、表現の自由にも根拠を求めていることから、かなりの手堅い構成になっています。

食べログをめぐっては、他にも大阪で隠れ家を売りにしている飲食店の運営企業が、こちらは店の情報そのものの削除を求める訴訟を提起していることが明らかになっていますが、こちらでも当然のことながら同じ構成で食べログ側は拒否をしたことから訴訟提起となっており、今後の展開が注目されます。

裁判例情報

札幌地裁平成26年9月4日判決

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2014年9月 7日 (日)

厚木労働基準監督署長、アズマインターナショナルの元専務がうつ病で自殺した件に関して、元専務を労働者として労災認定

労災保険法上の労働者は、労働基準法上の労働者と同じ概念とされています。したがって、役員は労働者ではないことになるのが原則なのですが、労働者なのか経営者なのかということは実質的に判断されるので、指揮監督下で労働していたのかという点から判断されます。

労働基準監督署長による労災の認定という形で、役員なのか労働者なのかという点が問題となった事例で、労使会認定がされたことが明らかになりました。

東京新聞:パワハラ自殺 労災認定 「名ばかり専務」過労でうつ病:社会(TOKYO Web) 2014年9月6日 夕刊

神奈川県大和市の物流業「アズマインターナショナル」(春日孝夫社長)の元専務で二〇一一年六月に自殺した男性=当時(54)=について、厚木労働基準監督署が、パワハラや過労によるうつ病が原因として労災認定したことが五日、分かった。遺族側代理人の川合きり恵弁護士が明らかにした。認定は八月二十八日付。

春日社長は取材に「パワハラや長時間労働があったとは考えておらず、認定は非常に残念」としている。

川合弁護士によると、男性は〇九年に専務になったが、実態は社長の指示に従って事務作業を行うなど「名ばかり専務」だったといい、一一年六月七日に自殺。会社駐車場に止めた車内で死亡しているのが見つかった。

川合弁護士は同僚らへの聞き取りなどの結果として、「一一年五月に部下の不正経理問題があり、男性は社長からメールで『ばか』『アホ』とののしられた。亡くなる三日前には自殺を図ったことを社長に伝え、その際、包丁を突きつけられ『死ね』などと言われていた」と主張。これに対し春日社長は「『死ね』と包丁を突きつけたのではなく、『死ぬなら先に私を殺せ』と包丁を机に置いただけだ」と反論している。

一方、男性の手帳からは、自殺前の半年間に月百時間を超える残業が三回あったことが判明。月二回ほどは会社駐車場の車の中で未明に仮眠を取る状況が続いていた。

(略)

名ばかり専務という、名ばかり管理職とパラレルのような取り扱い方になっていますが、役員なのか労働者なのかは昔からある問題であり、労働の実態に関しての事実認定がされたからこそ、労災認定がされているものと思われます。

指揮監督下で労働していたかという点がメルクマールであるので上記報道内で言及されている作業内容などから実質判断がされているのではないかと憶測されます。パワハラがあったということは、労働者だからこそのことであるという間接事実にもなるかもしれませんが、役員間でも地位の違いを利用しての圧力もあり得るところですので、決め手は役員としての業務遂行ではなく、指揮監督下での労働と評価される内容であったという点になるのだと思われます。

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2014年9月 4日 (木)

東証、平成26年10月から、ノンコミットメント型のライツ・イシューを規制へ

東証は3日、いわゆるライツ・イシューについて、規制に乗り出すことを発表しました。

 

新株予約権証券の上場制度の見直しについて

 

規制内容は、ノンコミットメント型のライツ・イシューについて、証券会社の事前審査か、株主総会の意思確認を義務付けるという内容であり、そもそも、債務超過や2期連続で経常赤字の企業には認めないという内容にもなっています。

 

ノンコミットメント型とは、未行使分の新株予約権について、行使を約束する引受人がいない類型のことです。

 

株主割り当てであることから容易に発行できるように見え、本来増資できない企業もできてしまうため、合理性のない増資が行われ、実際には既存株主が不利益を被っていると指摘されていることに対応するものとなっています。

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