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2014年12月

2014年12月30日 (火)

厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会、ホワイトカラー・エグゼンプションについて健康維持策の義務付けを議論

ホワイトカラー・エグゼンプションについての審議会における議論が進んでおり、通常国会への提出を見据えて、適用に当たっての細部の条件について検討が進んでいます。

12月24日に行われた厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会第121回労働政策審議会労働条件分科会において、ホワイトカラー・エグゼンプションについては、健康確保のために義務付ける内容が議論されました。

労働条件分科会審議会資料 |厚生労働省

まだ、議事録が公開されていないため、議論の内容は報道によるしかありませんが、健康維持策の義務付けで合意が得らえたとされています。

報道によると健康維持策としては以下のようなものが上がった模様です。

  1. 労働時間や在社時間の把握義務
  2. 長時間労働が疑われる場合には産業医の面談を受けさせる
  3. 一定日数の休日取得 or 労働時間の上限 or 次の勤務との間に一定時間の休息の確保

1と2は現在の裁量労働制でも必要とされる措置であり、この制度についても裁量労働制とパラレルに捉えていることが伺われます。しかし、ホワイトカラー・エグゼンプションは、深夜、休日の割増賃金も発生しないようになることが前提として議論されていることから、裁量労働制とは異なる中身になることにも注意が必要でしょう。

これまでにあまり見たことがないものとして特徴的なのは3ですが、3つの選択肢からいずれかを採用することを求める方向とされています。

連続労働を抑制する必要がある観点からの歯止めになるものであり、むしろ年単位の変形労働制での仕組みにちかいものがあります。年単位の変形労働時間制では総労働時間の枠がありますし、連続しての長時間労働が続かないように限界がいくつかもうけられていますので、それに近いものがあるといえるでしょう。

また、勤務と勤務の間の休息については、日本法上は新しい発想といえますが、厚生労働省が勤務と勤務の間にどれだけ時間を空けることが法制度上求められているかについて、諸外国の例の研究をしていたことがあったのですが、それがここで活かされてきた感じでもあります。

労働時間自体は把握することを求めることになるため、現在の裁量労働制に寄せられているのと同じ批判が発生するように思われますが、健康維持策の確保自体はこのような内容で議論をまとめ、次の検討課題としては、年収や職種の範囲に移るものとされています。

通常国会に提出するとなると、議論のペースを速めないと国会開会後に提出することになりかねませんが、選挙の結果もあることから、継続審議という事態にはならないで成立にはこぎつけられるようにも思われます。

一旦、不透明になった労働基準法改正ですが、選挙後は一転して加速がかかってきた模様です。

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2014.12.30 法律関係tweetまとめ

[twitter only]シャルレの株主が、子会社に無謀な貸し付けや増資をしたことで損害が生じたとして、元社長らに総額15億2千万円の賠償を求める責任追及の訴えを提起(12月27日)。

[twitter only]日本郵船、自動車運送の価格カルテルに関して、反トラスト法に違反したことを認め、アメリカ司法省と70億円の支払いで合意(12月30日)。

[twitter only]千葉県警、犯歴情報をOBに漏えいしたとして巡査長を減給100分の10(1か月)の懲戒処分。県信用保証協会で債権回収の業務を担当していた元上司の県警OBに漏えいしたもの。元上司は千葉区検から略式起訴され、罰金9万円とのこと。

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2014年12月29日 (月)

2014.12.29 法律関係tweetまとめ

[速報]ソニー・ピクチャーズエンタテインメントの元従業員が、サイバー攻撃で個人情報が流出してネット上から削除できなくなっているとして、同社を集団提訴。プレイステーションのネットワークサービスから利用者情報が流出した件にも触れて、狙われる可能性を予測できたのに対応を怠ったと言及。

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2014年12月27日 (土)

青山学院大・高等部・中等部等の教職員の一部が、一時金の減額を違法として差額を請求して、学校法人青山学院を提訴

青山学院大などを運営して著名な学校法人青山学院が、賞与に当たる一時金を例年よりも減額して支給したところ、教職員の一部がこれを違法として差額を請求して東京地裁に提訴したことが明らかになりました。

青山学院:教職員2割が提訴 「一方的に一時金減額」 - 毎日新聞 2014年12月25日 07時30分

学校法人「青山学院」(東京都渋谷区)の教職員285人が、一方的な一時金の規定廃止によって支給額を減額されたとして、学院を相手取り、規定との差額にあたる総額約5000万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こしたことが分かった。原告には大学教授らも名を連ね、学院が設置する大学や高等部、中等部などの教職員全体の2割に達するという。

訴状などによると、教職員の一時金は1953年以降、就業規則で定める規定に基づいた額が支給されていた。しかし学院側は2013年7月、「財務状況が非常に厳しい。取り崩し可能な資金にも余裕がない」などとして、規定の削除と一時金の減額を教職員の組合に提案。その後、組合の合意を得ないまま就業規則から規定を削除した。2014年夏の一時金は、規定より0.4カ月分低い2.5カ月分にとどまった。

学院側は教職員側に対し、少子化や学校間の競争激化を理由に挙げ、「手当の固定化は時代にそぐわない」などと主張。一方、教職員側は「経営状態の開示は不十分で、一方的な規定削除には労働契約法上の合理的な理由がない。学院と教職員が一体となって努力する態勢が作れない」などと訴えている。

(略)

上記の報道中に言及されていますが、青山学院は一時金の金額について算出方法を就業規則に定めていたということが重要になります。すなわち、本件は、就業規則の不利益変更の問題ということになります。

使用者が就業規則を不利益な方向に一方的に変更してしまった場合を、就業規則の不利益変更の問題といいますが、この場合については労働契約法に規定があります。

労働契約法

第10条 
使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。


要するに不利益変更が合理的といえるかということになり、上記の規定中に現れている事情の総合考慮ということになります。報道からうかがえる事情で法律上意味を持ってきそうな事実は、経営状態、金額を算出する内容を削除したということ、組合との話し合い程度、削減した金額の多寡などということになりましょう。

しかし、いくら減らしたということもさることながら、一時金の金額を算出する算式を削除したという今回の内容は興味深い問題であるように思われます。今までは算式があった以上、支給を引き下げる算式にするくらいでよかったのではないかという考え方がありうるところです。

給与が減額された場合で争いになると、不利益になった金額の多寡が検討されますが、これは給与の内容を引き下げる変更をしているためで、金額の多寡は変更後の規定の内容そのものであるのです。

それに対して本件は算出方法自体をなくしてしまって、そのうえで適宜の金額を支給しているので、金額の多寡とは別の問題となる可能性があります。この点は注意が必要です。

しかし、規定を削除したことが極端化というとそうとも言えないと思われます。支給時の業績から賞与の金額を算出するための算式を持っていない企業はそう多くはないでしょうが、あくまで内部的なものにとどまり、給与規程等に規定までして労働契約の内容としてしまっている場合は多くはないと思われます。

そういう意味では、青山学院側の主張である手当の固定化は事態に合わないというのは他の企業の例を見るならばその通りであり、それほどおかしいことではないのだと思われます。

すると決めては、経営状況ということになるのかもしれません。

これまで問題となってきた賃金制度の変更とは若干異なる問題状況であることから非常に興味深い事例であると思われます。

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2014.12.27 法律関係tweetまとめ

[法律]米第9巡回区連邦控訴裁判所、シー・シェパードが日本の調査捕鯨船への妨害行為を繰り返し、妨害や接近を禁じた仮処分命令に違反したと判断(12月19日)。賠償額が今後算定される方向とのこと。

[法律]法務省、休眠会社の職権によるみなし解散を平成27年度以降は毎年行う方針を固める(12月24日)。これまでは5年から12年おきに行っていたとされる。

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2014年12月23日 (火)

福岡地裁、刑事弁護事件で別の刑事弁護人を選任したため、着手金の返還を請求した訴訟で、請求を認容してアディーレ法律事務所に着手金の返還を命令

弁護士事務所に着手金の返還を命じるという一見すると何が起きたのか疑問に思えてしまう判決が出ましたので取り上げます。

アディーレ法律事務所に返還命令 弁護の「着手金」 - 産経ニュース 2014.12.16 15:38

法律事務所に依頼した刑事弁護を中途解約した福岡県の男性が、支払った着手金45万円の返還に事務所側も合意したにもかかわらず返金されないと主張した訴訟の判決で、福岡地裁は16日、事務所側に返還を命じた。

事務所は債務整理を多く手掛ける「アディーレ法律事務所」(東京)。

訴訟でアディーレ側は「返金は、新しく選任された別の事務所の弁護士が謝罪する条件で合意した。謝罪がない」と主張したが、永井裕之裁判長は判決で「アディーレの弁護士が送った書面には謝罪の条件はない。返金の合意は成立している」と指摘した。

判決によると、男性と、逮捕された長男は11月7日、異なる弁護士にそれぞれ刑事弁護を依頼した。男性はアディーレ側への依頼をキャンセルし、支払い済みの計130万円の返還を求めたが、うち着手金分は返還されなかった。

長男が刑事弁護人を必要とする事態になったところ、原告と長男とで別途、刑事弁護人を依頼してしまったため、原告はアディーレ法律事務所に対する依頼をキャンセルして着手金の返還を求めたところ、謝罪が条件だったのにそれがされないということで返還に応じなかったため、訴訟になってしまったという事件です。

アディーレの弁護士を弁護人選任までしたのかが定かではないのですが、結局、別の刑事弁護人がついたため、アディーレは弁護活動としてはそれほど行っていないと思われますが、その余は返還されたようですが、着手金分の返還がなされなかったため訴訟になった模様です。

弁護士への委任契約は、着手金は理由のいかんを問わず返還しないとかそういう契約条項になったりしているものですが、なぜか返還に関する合意の解釈問題になってしまい、新しい刑事弁護人の謝罪が条件であるのにそれがないと条件が成就していないという抗弁がアディーレから出されるという不思議な経緯をたどった模様です。

刑事弁護人が重複してしまいどちらかが辞任するということはままあるような気がしますので、謝罪をするなどの事態は考えられないような気がそもそもするのですが、福岡地裁はそもそも書面にそんな条件は書かれていないとして、条件になっていないと端的に解した模様です。

返還するのが当然なのかはともかく、明らかになった事実からは当たり前といえば当たり前のような結論になっていますが、そもそもなぜこのような紛争になったのかが極めて不思議である一件と感じられます。

裁判例情報

福岡地裁平成26年12月16日判決

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「ステーキのどん」等運営の株式会社どん、短時間勤務制度を育児、介護などの事由がなくても取得できるように制度変更 時間限定社員も創設へ

「ステーキのどん」などを運営する株式会社どんにおいて、いわゆる限定正社員の導入が行われることになった模様です。

吉野家HD傘下のどん、理由なしで時短勤務OK :日本経済新聞 2014/12/19 23:49

吉野家ホールディングス傘下で「ステーキのどん」を運営するどん(東京・北)は来春、社員が育児などの理由がなくても利用できる短時間勤務制度を導入する。勤務時間は4時間か6時間。勤務時間の短いアルバイトでも社員に登用しやすくする。外食業界の人手不足は今後も続くとみて、働きやすい環境づくりを進めるのが狙いだ。

(略)

日経新聞の報道によると、「どん」は、短時間勤務制度の拡大と時間外労働のない時間限定社員の二種類の人事制度変更を行う模様です。

短時間勤務制度は、育児介護休業法にあるもので、育児や介護といった事由のある労働者から請求があると認めるというものですが、これを理由を問わない形に拡大するということで、育児介護休業法の制度から、時間を限定した限定正社員の仕組みに性格が拡大することになるといえます。

あえて短時間勤務制度を広げるということにしたのは、原則はあくまでフルタイムの所定労働時間としつつ、一時的な仕組みとして扱うためなど理由は想像されますが、実際のところは不明です。

また、時間外労働のない時間限定社員を設けるとのことで、こちらも、育児介護休業法にある時間外労働の免除の仕組みを拡大するものといえそうです。

本件の特徴はフルタイムの正社員以外の雇用種別を増やすというこれまでの限定正社員の導入実例と異なる点が興味深いものがあります。

また、報道によると、導入の背景は、外食産業の人手不足があるということで、特に新卒者がこの業界に入ってくるハードルを下げたいという意向があるとされています。この点もこれまでの限定正社員の例とは異なるものがあり、特徴ある実例として興味深い一件であると思われます。

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2014.12.23 法律関係tweetまとめ

[法律]東芝、韓国SKハイニックスがNAND型フラッシュメモリーの研究データを不正に入手したとして提起した損害賠償請求訴訟で330億円の支払いを受けることで和解(12月19日)。同社は東芝の主張を一部認めたとみられる。知的財産をめぐる訴訟で日本企業が得た和解額としては過去最大。

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2014年12月18日 (木)

2014.12.18 法律関係tweetまとめ

[法律]ベネッセと情報流出事件で、持株会社の個人株主が、同社が対策費用として支出した260億円について当時の役員6人に責任追及の訴えを提起するように提訴請求(12月15日)。厳重な情報管理体制を構築して運営する責任を怠ったとしており、任務懈怠があると主張の模様。

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2014年12月14日 (日)

2014.12.14 法律関係tweetまとめ

[法律]東京地裁、集団的自衛権の行使容認の閣議決定を憲法違反といて無効確認請求訴訟で、訴えを却下(12月12日)。「閣議決定がすぐに原告の権利を制限するわけではない。具体的な法律関係の争いではないので訴えは不適法だ」とのことで、法律上の争訟に当たらないと判断している模様。

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最高裁、相続開始後に相続財産の投資信託受益権から元本償還金及び収益配当金が発生して被相続人名義の口座に振り込まれたとしても、当然に相続分に応じて分割されて法定相続人に帰属することはないと判示

相続発生によって相続財産中に投資信託が含まれていた場合に、預金と同じように当然に相続人に帰属することはないということは判例があり、以下の通り本ブログでも取り上げています。

最高裁、共同相続された委託者指図型投資信託の受益権及び個人向け国債は、相続開始で当然に相続分に応じて分割されることはないと判示 | Japan Law Express

しかし、投資信託の受益権そのものは上記のとおりですが、そこから配当金や元本の償還などで金銭債権が発生したらどうなるのでしょうか。

その点についての判例が出ました。

最高裁判所第二小法廷平成26年12月12日判決 平成24(受)2675 相続預り金請求事件

しかし、受益権の一部が金銭の請求権を含んでいるというだけですので、指図やガバナンスに関する不可分の投資信託の権利と表裏一体であるわけです。

したがって、全体として不可分ということになり、当然に相続分に応じて分割されるわけはないことになります。

この判例もその旨を簡単に述べています。

新しい点についての判示ですが、既存の判例理論から行くと当然の帰結であると思われます。

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最高裁、共同相続された委託者指図型投資信託の受益権及び個人向け国債は、相続開始で当然に相続分に応じて分割されることはないと判示

今年の2月の判決を今更ながら取り上げます。すでに取り上げたつもりでいたのですが、関連する12月の判決の時期を書こうと検討したところ、2月の判決についてまだ記事にしていなかったことに気づきまして、合わせて取り上げようと思います。

相続が発生した場合に相続財産はいったん共有になりますが、物権なのか債権なのかによってどのような状態になるのかはどのような財産であるかによって異なります。

債権の場合には準共有になりますが、判例はここから多数当事者間の債権債務関係になるとしており、すると給付が不可分の場合には不可分債権になり、給付が可分の場合には可分債権になります。その結果、債権の中でも財産の種類ごとに話が違ってきてしまうのです。

銀行預金は金銭債権ですので、給付は可分ということになります。ここから、預金は遺産分割の対象になる相続財産に入らず、相続開始時点で当然に分割して相続人に帰属するとしています。

もっとも、銀行実務は相続人の一部からの払い戻し請求には応じないので、この点は現実は若干異なるのですが、少なくとも実体法的には上記のようなことになります。

すると、給付が可分であれば、共有にならずに相続人に帰属していることになりますが、この給付が過分ということは実はそれほど簡単ではなく、分割できそうなのだがどうなのだという財産が増えてきており問題になることが出てきました。

特に投資信託が問題となることが多くなってきています。これは口数で購入するものであり、かつ、配当金は完全に現金になってしまうことから可分に見えなくもないことが影響しています。

この点、最高裁が投資信託の受益権と国債について、預金と同じ扱いなのか、共有になるのかについて判示をした判例が出ています。

最高裁判所第三小法廷平成26年2月25日判決 平成23(受)2250 共有物分割請求事件 民集第68巻2号173頁

この事件で問題となったのは、1 委託者指図型投資信託の受益権、2 外国投資信託にかかる信託契約の受益権、3 個人向け国債の3つが共有になっているのかという点です。

原告は、他の相続人を被告として、上記財産は共有になっているという理解の下、主位的に共有物分割を請求、予備的に共有でないなら名義書き換え手続きを行うことを請求したところ、原審は準共有ではなく相続人に帰属しているとして主位的請求を却下して、予備的請求も権利がないとして棄却したので上告受理申立てがされたものです。

最高裁は以下のように述べて、上記の財産については準共有になるとしました。

1 投資信託受益権については

本件投信受益権のうち,本件有価証券目録記載3及び4の投資信託受益権は,委託者指図型投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律2条1項)に係る信託契約に基づく受益権であるところ,この投資信託受益権は,口数を単位とするものであって,その内容として,法令上,償還金請求権及び収益分配請求権(同法6条3項)という金銭支払請求権のほか,信託財産に関する帳簿書類の閲覧又は謄写の請求権(同法15条2項)等の委託者に対する監督的機能を有する権利が規定されており,可分給付を目的とする権利でないものが含まれている。このような上記投資信託受益権に含まれる権利の内容及び性質に照らせば,共同相続された上記投資信託受益権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

としました。上記の前に株主権について言及しており、要するに株主権と同じように金銭債権だけではなく、ガバナンスに関する権利と一体となっている以上、それらを分割することはできないという点に根拠を求めています。

2 外国投資信託については、外国のものということで内容が不明確であるのですが、上記の投資信託と同じに会する余地が十分にあるとしています。この点は理由があまり説得的には書かれていないのですが、同じものだろうということだと思われます。

3 個人向け国債については、さすがにガバナンスに関する権限等はないため、分割できそうにも考えられますが、最高裁は一口1万円である点に注目しています。

個人向け国債の額面金額の最低額は1万円とされ,その権利の帰属を定めることとなる社債,株式等の振替に関する法律の規定による振替口座簿の記載又は記録は,上記最低額の整数倍の金額によるものとされており(同令3条),取扱機関の買取りにより行われる個人向け国債の中途換金(同令6条)も,上記金額を基準として行われるものと解される。そうすると,個人向け国債は,法令上,一定額をもって権利の単位が定められ,1単位未満での権利行使が予定されていないものというべきであり,このような個人向け国債の内容及び性質に照らせば,共同相続された個人向け国債は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはないものというべきである。

要するに1万円以下に分割できないので、法定相続分で分けることができないかもしれないので、可分ではないとしました。そうだと言われればそうとも思えますが、微妙といえば微妙にも聞こえるところです。

 

もっとも国債はともかく、投資信託については、実務上も有力な見解として上記のような考え方がされていました。したがって、この判決はその点では有力な見解を最高裁も認めたというところに尽きるように思われますが、国債に関するくだりから、相続財産に入るかどうかについて多数当事者間の債権債務関係の条文に照らして機械的に考えるという姿勢が貫徹されているということが改めて分かります。

実務的にも理論的にも重要な判決であると思われます。

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2014年12月13日 (土)

金融庁と東証が開催している「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」において、コーポレートガバナンス・コード原案が承認される

金融庁と東証がまとめる「コーポレートガバナンス・コード」で、上場規則に複数の社外取締役の設置を求めることが明らかに | Japan Law Expressの続報です。

12月12日に開催された「コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議」において、コーポレートガバナンス・コード原案が承認されました。

大きく分けると5つの原則なのですが、それぞれ細かく分かれているので、全体としてはかなり大分にわたります。

コーポレートガバナンス・コードの策定に関する有識者会議(第8回)議事次第:金融庁

コーポレートガバナンス・コードの基本的な考え方(案)

5つの原則だけ抜き出すと以下の通りになります。

【株主の権利・平等性の確保】
1. 上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべきである。
また、上場会社は、株主の実質的な平等性を確保すべきである。少数株主や外国人株主については、株主の権利の実質的な確保、権利行使に係る環境や実質的な平等性の確保に課題や懸念が生じやすい面があることから、十分に配慮を行うべきである。

【株主以外のステークホルダーとの適切な協働】
2. 上場会社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出は、従業員、顧客、取引先、債権者、地域社会をはじめとする様々なステークホルダーによるリソースの提供や貢献の結果であることを十分に認識し、これらのステークホルダーとの適切な協働に努めるべきである。
取締役会・経営陣は、これらのステークホルダーの権利・立場や健全な事業活動倫理を尊重する企業文化・風土の醸成に向けてリーダーシップを発揮すべきである。

【適切な情報開示と透明性の確保】
3. 上場会社は、会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務情報について、法令に基づく開示を適切に行うとともに、法令に基づく開示以外の情報提供にも主体的に取り組むべきである。
その際、取締役会は、開示・提供される情報が株主との間で建設的な対話を行う上での基盤となることも踏まえ、そうした情報(とりわけ非財務情報)が、正確で利用者にとって分かりやすく、情報として有用性の高いものとなるようにすべきである。

【取締役会等の責務】
4. 上場会社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図るべく、
(1) 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
(2) 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
(3) 独立した客観的な立場から、経営陣(執行役及びいわゆる執行役員を含む)・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
をはじめとする役割・責務を適切に果たすべきである。
こうした役割・責務は、監査役会設置会社(その役割・責務の一部は監査役及び監査役会が担うこととなる)、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社など、いずれの機関設計を採用する場合にも、等しく
適切に果たされるべきである。

【株主との対話】
5. 上場会社は、その持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するため、株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行うべきである。
経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、こうした対話を通じて株主の声に耳を傾け、その関心・懸念に正当な関心を払うとともに、自らの経営方針を株主に分かりやすい形で明確に説明しその理解を得る努力を行い、株主を含むステークホルダーの立場に関するバランスのとれた理解と、そうした理解を踏まえた適切な対応に努めるべきである。

上記のうち、原則4から導かれる細則として、独立取締役については以下のような規律が含まれています。

【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】
独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきである。
また、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、自主的な判断により、少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社は、上記にかかわらず、そのための取組み方針を開示すべきである。

上記のように5つの原則自体は結構抽象的ですが、細目となると上記の独立取締役についての規律のように結構具体的であることから、かなり具体的にガバナンス強化を求めるものといえそうです。

報道によると東証は上場規則として、6月1日から適用する方針とされています。

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2014.12.13 法律関係tweetまとめ

[法律]ドイツ政府、大企業に対して監査役会における女性の割合を少なくとも30%とすることを求める法律を閣議決定(12月11日)。ドイツ会社法における監査役会は、日本の監査役会の役割とは大きく異なることに注意が必要。

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2014年12月11日 (木)

2014.12.11 法律関係tweetまとめ

[法律]証券取引等監視委員会、投資助言業のNEXT TRUSTが、登録をしていない業者が個人投資家らと投資一任契約を結ぶ際の仲立ちに名義を貸していたとして、行政処分をするように勧告(12月9日)。

[法律]福岡地裁、NPO法人消費者支援機構福岡が提起したLIXILの高齢者用マンションで入居時に支払った一時金の20%を返還しないと定めた契約条項の差止めを求めた訴訟で請求を棄却(12月10日)。判決では、死亡まで契約が定額で継続することを保証する対価と評価している模様。

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2014年12月 9日 (火)

2014.12.09 法律関係tweetまとめ

[法律]東京地裁、都立の中高一貫校に1年間の条件付き任用された教諭が、期間満了後に分限免職されたことを不服として提起した取消訴訟で処分を取消(12月8日)。教諭は1年間の研修中で、指導担当が解任されて後任が選任されなかったなどの事情があり、指導体制の基本が欠けていたと指摘。

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2014年12月 7日 (日)

最高裁、無限連鎖講によって給付を受けた者は、行っていた会社の破産手続開始決定後に破産管財人が行う配当金の返還請求を、不法原因給付に基づく給付であることを理由に拒むことは信義則上許されないと判示

これまた少し前の判例を取り上げます。

いわゆるねずみ講と呼ばれる無限連鎖講は禁止される類のものですので、それによって給付を受けた配当は、不法原因給付となります。

第708条(不法原因給付) 
不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

無限連鎖講を行っていた会社が破産手続開始決定を受け、破産管財人が選任されたものの、例によって債権者に比して財産がほとんどなかったため、出資金に比して配当金が多かったためにいわば利益が生じていた会員に対して、返還請求を行ったところ、不法原因給付であるとして請求することができないとされたため、上告受理申し立てがされたという事件で最高裁判例が出ました。

最高裁判所第三小法廷平成26年10月28日判決 平成24(受)2007 不当利得返還等請求事件

不法原因給付だから返還請求できないとすると、無限連鎖講ですので大変の会員は被害者となっているわけですが、偶然一部の会員だけが他の会員の犠牲の上で利益を得ることになります。

これはあまりに不当といえますので、最高裁は以下のように述べて破棄自判しました。

破産会社の破産管財人である上告人が,被上告人に対して本件配当金の返還を求め,これにつき破産手続の中で損失を受けた上記会員らを含む破産債権者への配当を行うなど適正かつ公平な清算を図ろうとすることは,衡平にかなうというべきである。仮に,被上告人が破産管財人に対して本件配当金の返還を拒むことができるとするならば,被害者である他の会員の損失の下に被上告人が不当な利益を保持し続けることを是認することになって,およそ相当であるとはいい難い。

したがって,上記の事情の下においては,被上告人が,上告人に対し,本件配当金の給付が不法原因給付に当たることを理由としてその返還を拒むことは,信義則上許されないと解するのが相当である。

要するに拒むことは信義則上許されないという判断をしたわけです。

結論としては妥当なものと考えられますが、一般理論である点がやや苦しい構成である感じがしますが、それでも無限連鎖講などに限定して適用される法理として画するためなら当然のことだとも思えます。

しかし、木内判事はこの構成には若干気になる模様で補足意見で以下のように言及をしています。

その事業実施者(無限連鎖講の事業者のこと)が破産した場合,破産管財人が行う給付(利得)の返還請求は,破産者に代わって行うものということはできない。破産制度の目的は「債務者の財産等の適正かつ公平な清算を図る」ことであり(個人破産については「債務者について経済生活の再生の機会の確保を図る」ことが加わる。),その目的のために「債権者その他の利害関係人の利害及び債務者と債権者との間の権利関係を適切に調整」(破産法1条)するという破産管財人の任務の遂行としてこれを行うのである。

上記のとおり、無限連鎖講の場合に限定するところは変わらないものの、無限連鎖講の事業者が破産した場合の破産管財人の返還請求は破産者と同じくする資格で行っているわけではないということを述べておられます。法定訴訟担当のような考え方になるのかもしれませんが、なぜ無限連鎖講の時だけそうなるのか考えると若干大仰な構成に感じられなくもありません。

とにかく、不法原因給付の返還を求めることができる場合が一つ認められたということで注目すべき判例と思われます。

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最高裁、賃料増減請求によって変更された賃料額の確認を求める訴訟の既判力は、特段の事情のない限り、賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生じ、口頭弁論終結時までの賃料ではないと判示

ちょっと前の最高裁判決を取り上げます。今になって出たわけではないのでお騒がせし申し訳ございません。

借地借家法上、賃料増減額請求権という権利があり、その権利を行使すると賃料の変更をすることができます。普通は話し合いで合意した賃料になるところですが、合意できないときに一方的に変動の機会を生じさせるところに意味があります。

とはいっても好き勝手な賃料できるものではなく、これによって変動した賃料がいくらが相当なのかは法的な問題になります。そのため、賃料増減額確認請求という類型の訴訟があり、この訴訟手続きによって賃料が確定されるということになります。

この賃料増減額確認請求は、訴訟物については賃料が増減額された日から口頭弁論終結時までの間の賃料額と解されています。

また、請求の趣旨やそれに対応する主文では、以下のように期間を持って記載するものとされています。

原告と被告との間の(略)についての賃貸借契約賃料は、平成〇年〇月〇日以降1か月△万円であることを確認する

こうなると、賃料増減額確認請求の係属中、口頭弁論終結時までに複数回の賃料増減額請求がなされたものの、すべての権利行使に関する確認請求の追加をしなかった場合には、既判力によって後訴で追加しなかった分の賃料増減を問題にすることができなくなりそうです。

この点が正面から問題となった判例が9月に出ていましたので取り上げます。

最高裁判所第一小法廷平成26年9月25日判決 平成25(受)1649 建物賃料増額確認請求事件

本件の時系列を思い切り単純化すると以下のようになります。

承継が何度か生じているのですが、単純化のため賃貸人側をX、賃借人をYとします。

本件事案発生時点での賃料は300万円。

平成16年3月29日 Y→X 本件賃料を同年4月1日から月額240万円に減額する旨の意思表示をした(「基準時1」)

平成17年6月8日 Y→X 「本件賃料が平成16年4月1日から月額240万円であること」の確認等を求める訴訟「前件本訴」

平成17年7月27日 X→Y 同年8月1日から月額320万2200円に増額する旨の意思表示をした(「基準時2」)

平成17年9月6日 X→Y 前件本訴に対し,「本件賃料が平成17年8月1日から月額320万2200円であること」の確認等を求める反訴(「前件反訴」)

平成19年6月30日 X→Y 本件賃料を同年7月1日から月額360万円に増額する旨の意思表示をした(以下,この意思表示を「本件賃料増額請求」,同日の時点を「基準時3」)

承継前被上告人は,本件賃料増額請求により増額された本件賃料の額の確認請求を前件訴訟の審理判断の対象とすることは,その訴訟手続を著しく遅滞させることとなるとして,裁判所の訴訟指揮により,上告人X1が,前件訴訟における反訴の提起ではなく,別訴の提起によって上記確認請求を行うよう促すこと
を求める旨記載した上申書を裁判所に提出した。

平成20年6月11日,前件本訴につき,「本件賃料が平成16年4月1日から月額254万5400円であること」を確認するなどの限度で承継前被上告人の請求を認容

X控訴

平成20年10月9日 控訴審 口頭弁論を終結(以下,この口頭弁論の終結時点を「前件口頭弁論終結時」),同年11月20日,上告人X1の控訴を棄却し,上記判決は,同年12月10日に確定した(以下,確定した上記判決を「前訴判決」)

以上のような時系列に基づいて、後訴が提起されて上記の本件賃料増額請求についての確認請求がされたのが本件です。

本件賃料増額請求は、口頭弁論終結時の前ですので、上記のような訴訟物の理解をすると既判力によって遮断されるような気がしますので、原判決まではそのように判断して請求を棄却していました。

しかし、これだと、著しく遅延させるからということで追加しなかったことなのであんまりな判断です。

そこで最高裁は原判決を否定して破棄差し戻しを行いました。

賃料増減額請求は形成権であるので、判断資料とするのもその行使時点の事情であることなどを指摘して、再度の講師がない限り、行使後の事情は結論に影響しないことをまず指摘します。

そして、請求の趣旨に注目して、賃料増減額の始期があるのに終期はないことを指摘して、これは継続的な法律関係であることから、一度決定すればそのまま任意の支払いがなされることが期待されるので、それだけで紛争の解決が果たされるので終期の記載がないと解釈しました。

これらから、特定期間の賃料の確認の請求をしているわけではないという理論を導いています。そして法律論として以下のように述べています。

賃料増減額確認請求訴訟の確定判決の既判力は,原告が特定の期間の賃料額について確認を求めていると認められる特段の事情のない限り,前提である賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に係る判断について生ずると解するのが相当である。

したがって、特段の事情がない限り、訴訟物とまでそうだといっていいのかまではわかりませんが、少なくとも既判力が生じるのは賃料増減額請求をした時点での賃料についてのみとしました。

こうなると、前訴判決が審理の対象としていたのは、基準時1と基準時2にかかる増減額請求だけですので、基準時3にかかる増額請求は既判力で遮断されないことになり、請求棄却をしていた原判決はおかしいことになり、破棄差し戻しがなされたわけです。

訴訟物の捉え方の問題としているのかはあまりはっきりとしないのですが、補足意見は当然に訴訟物の問題ととられているように読めますので、賃料増減額確認請求の訴訟物について最高裁が判断をしたものということができましょう。

実務的にも重要な意義を有するものと思われます。

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2014年12月 6日 (土)

2014.12.06 法律関係tweetまとめ

[法律]ハーグ条約に基づく2例目の出国があり、二重国籍の子供二人がカナダの父親の下へ向かっていたことが判明(12月5日)。外務省のADR機関紹介制度による解決の初の事例で、東京弁護士会の和解協議あっせんによって出国の合意ができたもの。費用は外務省の負担とのこと。

Japan Law Express(@JapanLawExpress)さん | Twitter

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神戸大学大学院医学系研究科の元准教授が、当時の教授から不当に退職を迫られたとして、大学と教授を相手取って提起した損害賠償請求訴訟の控訴審で、和解が成立

大阪高裁において、神戸大学大学院医学系研究科の元准教授が、教授(当時)から不当に退職を迫られたとして、大学と教授を相手取って提起した損害賠償請求訴訟の控訴審で、和解が成立して終了したことが明らかになりました。

神戸新聞NEXT|社会|神大アカハラ訴訟が和解 元准教授に解決金 大阪高裁 2014/12/3 14:11

神戸大大学院医学研究科の准教授だった男性(59)が、教授(当時)から不当に退職を迫られたとして損害賠償を求めた訴訟の控訴審は、大学と教授が計125万円の解決金を支払うことなどを内容とする和解が3日までに、大阪高裁(小松一雄裁判長)で成立した。

和解は11月7日付。解決金のほか、大学が「遺憾の意」を表し、ハラスメントの再発防止に努めることなどが含まれる。一審神戸地裁判決は、退職勧奨に応じないことへの嫌がらせとして診療や研究の制限があったと認め、計275万円の支払いを命令。大学と教授が控訴していた。

一審判決によると、男性は2007年に准教授に着任し、08年以降、教授に退職を強要された。断ると組織再編に合わせて配置異動させられるなどし、10年に解任された。

退職勧奨をした理由については、この和解に関する報道ではあまり明らかではないのですが、上記のとおり原判決でも損害賠償が認められておりこの判決に関する報道によると以下のような事情があった模様です。

神戸新聞NEXT|社会|元医学部長の「アカハラ」認定 神戸大に賠償命令 神戸地裁 2013/6/29 05:45

(略)

判決によると、元医学部長は2008年4月に就任。当時、元准教授が科長を務める血液内科を腫瘍内科と統合・再編する計画が進んでおり、元医学部長は元准教授に「自分で身を引けへんかったら処分する」「進退を一任しないなら、研究も診療も一切できないようにする」などと再三退職を強要。元准教授が拒否すると「助教授のくせに」「アホ」「エゴイスト」などと非難した。

小西裁判長は「長時間、侮蔑的・脅迫的な表現で退職を迫っており、不法行為に当たる」と認定。さらに、診療や研究ができない地位に追いやったことや、厳重注意処分としたことも「制裁や嫌がらせを目的にしたもので、原告が受けた精神的苦痛・不利益は大きい」と指摘した。

(略)

要するにきっかけは大学内というか医学部内の組織再編にあったことが伺われます。

上記報道では具体的な行為態様も引用されており、どのような退職勧奨がアカハラ、一般的な企業車内に置き換えるとパワハラに当たるかと検討するうえでの事例として有意義なものと思われます。

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2014.12.05 法律関係tweetまとめ

"[法律]福岡高裁宮崎支部、携帯基地局運用差止訴訟の控訴審で、差し止めを認めなかった一審を支持して、住民からの控訴を棄却(12月5日)。控訴審では、新たにマイクロ波ヒアリング効果が発生しているという争点が主張されたが、測定の結果、電磁波はそこまで強くないとされた。"

"[法律]ハーグ条約に基づく初の返還命令の決定に対して、現在日本国内で子供を監護している母親が不服として大阪高裁に即時抗告(12月3日)。"

Japan Law Express(@JapanLawExpress)さん | Twitter

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2014年12月 3日 (水)

2014.12.03 法律関係tweetまとめ

[法律]2010年に自殺した小6の児童をいじめていたとして、母親が、加害者とされる同級生とその母親を相手取って、前橋地裁に損害賠償を請求していた訴訟で和解が成立(12月1日)。和解内容は遺影や位牌に手を合わせて頭を下げることで、同日、裁判官立ち会いの下で実行したとのこと。

[法律]東京地検、成年後見人として管理していた預金約1700万円を横領したとして、おいの会社役員を逮捕(12月2日)。おじの預金を知人の口座に送金してた着服したとされる。成年後見人としては昨年にすでに解任されているとのこと。

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2014年12月 2日 (火)

2014.12.02 法律関係tweetまとめ

[法律]最高裁、2000年5月時点では婚外子の相続格差の規定は合憲だったと判断。遅くとも2001年7月時点では違憲とした最高裁大法廷平成25年9月4日決定の前に2000年6月時点や同9月時点で合憲とした最高裁判例があるため、それより前の5月時点では合憲との判断(12月2日)。

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2014年12月 1日 (月)

2014.12.01 法律関係tweetまとめ

[法律]東京エレクトロン、米アプライドマテリアルズとの経営統合期日を12月30日から2015年3月24日に変更(11月28日)。日本、米国、韓国、台湾、中国では競争法当局の審査が継続しているため。

[法律]米第7巡回区連邦控訴裁判所、モトローラ・モビリティーが訴えていた液晶部品の価格カルテルを巡る損害賠償請求訴訟で請求を棄却(11月26日)。この件はモトローラの子会社が外国行った取引に関してアメリカの反トラスト法の域外適用があるかが争点であり、それを否定した形。

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2014.11.30 法律関係tweetまとめ

[法律]ベネッセの顧客情報流出事件で、子供と自分の個人情報が流出したとして、東京の弁護士が合計して13万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に提起していたことが明らかになる(11月29日)。ベネッセは、被害者に対して500円相当の金券の配布を打ち出している。

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