外国法務事情

企業法務に関連する外国法の記事です。

2015年5月 3日 (日)

ルノー、株主総会で株式を2年以上保有した株主に2倍の議決権を与える制度の導入を決定 フランス政府による政府の保有株式の議決権を増加させることが目的

フランスには、2年以上保有した株式の議決権を2倍とする法律が存在されているとのことですが、これがフランス政府による企業への介入に使われる事態が生じており、具体的にはルノーに対する影響力増大に使わることが明らかになりました。

仏政府、ルノーへの議決権2倍に 日産の経営に影響も :日本経済新聞 2015/5/1 10:09

【パリ=竹内康雄】フランスの自動車大手ルノーと筆頭株主の仏政府が対立していた問題が決着した。30日のルノー株主総会で、株式を長期保有すると議決権が2倍になる制度を導入することが固まった。制度採用を後押ししたマクロン仏経済産業デジタル相は「長期保有の株主を優遇する資本主義を守れた」と歓迎。今後はゴーン最高経営責任者(CEO)がどう対応するかが焦点だ。

2014年に成立したフランスの通称「フロランジュ法」は株式を2年以上持つ株主に2倍の議決権を与えると定めた。ただ株主総会で投票者の3分の2が反対すれば適用されない。主要2株主である仏政府と日産自動車のバランスが崩れると懸念したルノー経営陣は、株主総会に現行制度存続を求める議案を提出した。

仏政府はルノー株を一時的に買い増してこれを否決に持ち込んだ。賛成が60.53%で反対は39.39%だった。これを受け、仏政府のルノーへの議決権は従来の15%から28%に増える見通し。日産はルノー株を15%保有するが議決権はない。

(略)

ヨーロッパでは景気がよくないこともあり、企業への介入や排外主義が頭をもたげてきているきらいがあるようですが、フランスでは政府が企業経営に介入して事業戦略の合理性よりも、雇用維持や国内産業の保護を求めている模様です。このような介入が過度になると結果として国際競争力を損なうことになりますので、最終的には自らの首を絞めることになると思われます。国内経済への配慮を政治的に求めたかわりに国内的に優遇するということも考えられないでもないですが、WTO体制の下ではそのような優遇措置はできない筋合いのものですので、やはり企業にだけ無理を強いるだけということになりかねないように思われます。

また、別の問題なのですが、このような立法が行われたことの法的適合性が日本法の観点からはやや驚きです。

日本では株主平等原則を捨てない限り、単純に特別の立法でこのような仕組を導入することは難しいと思われますが、日本法の下でも種類株式を用いれば同様の仕組みは可能であるかもしれません。

比較法的にも非常に興味深い事象であるとはいえそうです。

 

 

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2014年6月16日 (月)

上海新梅置業が買収防衛のため株主権の制限や取締役改選数の制限を設けたと報道される

中国でも買収防衛策を検討しないといけない時代になっている模様で、上海新梅置業が、株主権の制限などを含む措置を導入したことが報道されました。

 
   

上海新梅置業、敵対的買収防衛策発表 :日本経済新聞 2014/6/13 23:20

   

■上海新梅置業(不動産開発) 敵対的買収防衛策を発表した。株主総会や取締役会で株主提案をできる株主に新たに「連続して12カ月以上株式を保有する」との条件を付加。株主提案権の乱用を防ぐためとしている。

   

また「取締役を変更可能な数を取締役全数の3分の1まで」に制限した。同社は定款変更について「短期売買や悪意のある買収を目的とした株主提案権の乱用を防止するため」と説明している。同社を巡っては上海開南投資発展など6株主が議決権行使の一致で合意し、合計14.23%の議決権を保有する筆頭株主になっている。

   

(上海=土居倫之)

 

上記の内容をどのようにして実現したのか、定款を変更して行ったのか、取締役会で決議したのかなども不明であり、そもそも会社が一方的に決定できる内容ではないように思われるので、報道では落ちてしまっている事実があるものと思われます。

 

日本の会社法的に考察しても、株主提案権について議題と議案について区別せず、基準日などの事務的な必要性の認めうる内容とは別に長期の期間制限を設けることは違法になるように思われますし、取締役の改選数は、そもそも任期との関係で勝手に制限することができるとは思えません。何らかの抜け落ちている事実を補充すると整合する内容になるものと思われます。

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2014年4月 7日 (月)

アメリカ連邦最高裁、取引先企業の不正を通報することも企業改革法の内部通報者保護に該当すると判断

内部通報またの名を公益通報の対象は、自分の勤務先の情報を通報することですが、その対象に勤務先以外も含まれるのかがアメリカでは議論されているとのことで、連邦最高裁が含まれると判断したことが明らかになりました。

米連邦最高裁、取引先も内部通報者保護の対象に :日本経済新聞

米連邦最高裁はこのほど、取引先企業の不正を通報した従業員も企業改革法の内部通報者保護の対象になるという判断を出した。これまでは保護が取引先の従業員まで及ぶかどうかはっきりしなかった。日本でも内部通報者の保護が課題になっており、米国の判断は参考になりそうだ。

訴訟は、米フィデリティが管理するファンド(公開企業)での不正を告発したフィデリティ社員が同社から報復措置を受けたケース。フィデリティ側は、内部通報者保護制度は「公開企業の従業員のみを対象にしている」と主張し、請求棄却を申し立てていた。

連邦巡回区裁判所(控訴審)は会社側の主張を認めていたが、連邦最高裁の決定は「公開企業の契約先企業や下請け企業の従業員も保護の対象になる」と判断し、新たなルールを示した。

(略)

日本ではどうなるかと考えてみますと、日本の公益通報者保護法は同じく、通報対象事実をいわゆる勤務先や労務提供先としているので社外は含まないことになりそうです。

しかし、公益通報者保護法とは別に、その内部通報が原因で懲戒がなされたとき、その有効性をめぐって懲戒権濫用か否かの判断枠組みの中で、検討がされることになります。

取引先の不正を通報した場合に、取引先との関係を慮って懲戒をしたという場合に裁判で争われるということになると、日本でも、懲戒を無効とすることで社外のことについての内部告発を保護するという事態はありうるところのように思われます。

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2014年4月 6日 (日)

韓国で取締役報酬の開示制度が運用開始 2013年の報酬額のトップはSKグループの崔泰源会長で約29億円

JAPAN LAW EXPRESS: 韓国,法改正で4400万円以上の役員報酬を開示することを義務付けの続報です。

韓国で取締役報酬の開示が開始されたとのことで、2013年の報酬額トップは、SKグループの崔泰源会長で301億ウォン(約29億円)とのことです。

日本では、継続開示の一環として開示が進んできていますが、韓国のそれは位置づけが若干異なるようで、似た時期に同様の制度を取り入れたようでして、微妙に風土の違いを反映している模様です。

なお、サムスン電子の李健熙会長は商法上の取締役ではないため開示対象外とのことですが、配当だけで1078ウォンになるとのことで、報酬としてもおそらく実質的にはトップであるものと思われます。

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2013年12月23日 (月)

韓国大法院,割増賃金の算定の基礎となる通常賃金の範囲に賞与の固定給部分が含まれると判断 人件費が年1兆4000億円増加しかねない事態に

韓国の最高裁にあたる大法院は創造的な判断をするように日本からは見えますが,そのように見受けられる判断がまた一つなされました。

12月18日に韓国の大法院が,割増賃金の算定の基礎となる通常賃金の範囲を,それまで韓国政府の見解よりも広げて,賞与の固定給部分にまで広げたため,割増賃金すべての単価が上がってしまうことになり,総計すると韓国全体で年1兆4000億円の人件費の増加が見込まれる事態に直面してしまったとのことです。

韓国、残業代算定ベース拡大 人件費膨らむ恐れ :日本経済新聞

【ソウル=小倉健太郎】韓国の大法院(最高裁に相当)は18日、残業代などを計算するベースとなる「通常賃金」の構成範囲をこれまでよりも幅広くとらえるべきだとの判断を示した。(略)

韓国政府は従来、企業の通常賃金にはボーナスは含まないという指針をとってきた。これに対し、自動車部品会社の従業員らが会社側と通常賃金の定義を争った裁判で、大法院は通常賃金の範囲をボーナスの固定給部分にも広げた。通常賃金が上がると、残業代や休日出勤手当なども増える。

政府は判決を受けて指針を改定する方針。この通りに適用すると企業の負担は兆円単位で上昇する。経済団体の韓国経営者総協会は、人件費が1年で合計14兆ウォン(約1兆4000億円)弱増えると試算している。

(略)

韓国法は,日本法をベースにしている分野も多く,法制度が似通っているところが多々あります。

割増賃金の計算方法の日本と同様になっており,通常の賃金を算出してそれに割増率をかけて,時間外労働,休日労働の実労働時間をかけることで,割増賃金を算出する仕組みになっています。

その通常の賃金の算定に当たり,賞与は入らないという見解を韓国政府はとっていたところ,賞与の固定給部分も含まれるとのことで,通常の賃金が上昇してしまうことになったというものです。

日経の報道では,これは韓国だから起きたことというような書き振りがうかがえるのですが,そのように言うことの根拠は日本では通常の賃金についての定め方について厚生労働省令で定めがあって賞与は除外されることを規定しているからです。

労働基準法施行規則

第十九条 法第三十七条第一項 の規定による通常の労働時間又は通常の労働日の賃金の計算額は、次の各号の金額に法第三十三条 若しくは法第三十六条第一項 の規定によつて延長した労働時間数若しくは休日の労働時間数又は午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合には、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの労働時間数を乗じた金額とする。

時間によつて定められた賃金については、その金額

日によつて定められた賃金については、その金額を一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異る場合には、一週間における一日平均所定労働時間数)で除した金額

週によつて定められた賃金については、その金額を週における所定労働時間数(週によつて所定労働時間数が異る場合には、四週間における一週平均所定労働時間数)で除した金額

月によつて定められた賃金については、その金額を月における所定労働時間数(月によつて所定労働時間数が異る場合には、一年間における一月平均所定労働時間数)で除した金額

月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間、以下同じ)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における、総労働時間数で除した金額

労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額

○2 休日手当その他前項各号に含まれない賃金は、前項の計算においては、これを月によつて定められた賃金とみなす。

 

第二十一条 法第三十七条第五項 の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項 及び第四項 の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。

別居手当

子女教育手当

住宅手当

臨時に支払われた賃金

一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

上記がその根拠となる規定なのですが,19条1項で要するに月給の場合には基本給を所定労働時間で割ったのが通常の賃金としており,各種手当は19条2項から基本給に加えて追加するものの,21条で家庭的事情に基づく手当等は除外されるほか,恒常的ではないものも除外されており,特に5号で賞与が除外されているわけです。

このように定めていることで日本では韓国のようなことは起きないという見解になっているわけです。

しかし,所詮,厚生労働省令で定めているだけなので,法律違反の定めであって裁判所がひっくり返す,という突っ込みも理論的にはありうるところです。もっとも,割増賃金の制度は,労働基準法によって設定されたもので労働者が自然的にもっている権利ではないということから考えると,その内容は立法的に設定でき,細目は行政に委任されるということも正当となるでしょう。

したがって日本では賞与も通常の賃金に含まれるということにはおそらくならないのですが,そうは言えない場合もあります。

実は賞与というのは,名称がそうなっていればいいというものではなく,支給額が不確定であることを要するということが通達で言われており(昭22.9.13発基17号),賞与と呼称されていても支給する金額があらかじめ確定していると,上記の労働基準法施行規則でいうところの一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金に該当しません。

そのため年俸制を採用して,16分割してそのうちの4は賞与分として支給する場合には通常の賃金に入って割増賃金の算定の基礎になるとされています(平成12年3月8日基収78号)。

こう考えると,韓国の大法院でなされた判決もあながち飛躍のあるものではなく,通常の賃金を下げるためにやたらと賞与の形で支給をすることは許されないという解釈論だといえるでしょう。

もっともこれは韓国で賞与の支給についてあらかじめ確定している部分があるものならばそうだといえるということであり,日本の賞与とあまり変わらないのにそのように判断されたのだとすると,日本法の観点からは生じない事態というほかないでしょう。

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2013年12月15日 (日)

アメリカにおいて雇用の維持の代わりに労働条件の引き下げを企業が労働組合に提案する例が相次ぐ

日本国内においては,賃金増が全国的な動きとなっていますが,製造業の国内回帰の動きがあるアメリカでは,まったく逆の動きが起きています。

13日付の日経の報道によると,アメリカでは,企業側から雇用の維持,新規生産を行う,または生産の維持のために,年金などの労働条件の切り下げを提案していることが明らかになりました。

確定給付の年金を確定拠出への変更することや,退職手当の削減などが入っている模様です。または工場廃止か昇給凍結化を迫るなどをしているとのことです。

そのような動きをしている企業としては,ボーイング,キャタピラー,GEなどが上がっており,工場における製造業が対象となっているとのことです。GEでは,4割の賃下げで中国から生産を移管したとされています。

世界中で適地生産ができるようになっている以上,別のところでやってもいいんだぞと迫ることで,労働条件の引き下げを迫っている構図となっている模様です。

日本でも,国際競争のほかに,会計基準の変更なども重なり,今後,労働条件をどのように再編成していくかが課題になってくることが予想されます。

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2013年10月14日 (月)

ドイツでも総選挙の結果,最低賃金制度が導入される機運が高まる

日本では最低賃金法によって最低賃金が決まっています。

大雑把にいうと時給換算した場合の最低額に法律上の制限があり,契約自由の原則が一部修正されているわけです。

この最低賃金は都道府県ごとに決められます。

日本では,政治的な理由から民主党政権と政権交代後の自民党政権でも最低賃金が急上昇するということになり,この10月から各都道府県で順次,引き上げられます。

例を挙げると,東京では850円から869円へと引き上げられます。

850円というと大手外食チェーンなどのアルバイトの時給よりも若干低いくらいということになります。最低賃金ギリギリの賃金は早々はないため最低賃金上げによる賃金そのものの上昇効果は実は比較的苦しい業界にばかり押し寄せるという変な構造になっています。

このような最低賃金制度とよく似た最低賃金制度をドイツでも導入する方向になってきました。これも政治的な理由によるもので,総選挙の結果,大連立の条件として浮上してきたものです。

検討されているのは,8.5ユーロとのことで,1130円ほどということで,かなり高めの最低賃金ということになりそうです。

ドイツはもとから労働法制が非常に硬直的であり,そのせいで雇用を抑制している気があったことから,非正規雇用の拡大などを近年進めてきたところでした。今回はそのような緩和から逆の方向に動くことになる模様です。

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2013年5月 5日 (日)

韓国,法改正で4400万円以上の役員報酬を開示することを義務付け

日本では,1億円以上の役員報酬を有価証券報告書で開示することが義務付けられていますが,韓国では,5億ウォン(4400万円以上)の開示を義務付ける旨の法改正が行われたことが明らかになりました。

日本でも1億円からなのにということで,それよりも低い額で開示を義務付けられることについて,反発の声が経済界から出ているとされています。

また,法改正で入ったとのことですが,日本の場合には継続開示の内容の一部として義務付けたものですので,法的根拠の重みが異なっている模様で,こちらも興味深い違いといえそうです。

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2013年3月 5日 (火)

スイス,国民投票で企業経営者の高額報酬に株主が制限をかけられる制度を賛成多数で導入へ

大企業の経営者が高額報酬を得ることはアメリカで顕著で話題にもなりましたが,世界的に同じ傾向があり,それに対する批判が起きてくるのも世界的な傾向といえるようです。

国民投票の活用をしていることで珍しいスイスにおいて,株主が企業経営者の高額報酬に制限をできる制度が国民投票の結果,導入されることになったとのことです。

これは何と憲法改正を経ることになるという大変大がかりなものである模様です。

経営者の報酬は,株主総会で株主が一応の関与ができるものですので,会社側提案の通りになるのが現実であるにしてもなぜそこまでするのかという気がしないでもありません。特にスイスのこの制度は罰則までついているとのことで,私法をなんだと思っているのかというような批判が起きそうな内容です。

しかし,これには相当の理由があるようで,スイスでは経営者の報酬に株主は関与できないということであり,それに対する不満からこのような大がかりな事態になったとのことです。

上場企業幹部の高額報酬にノー スイス、国民投票で株主権限強化 - MSN産経ニュース2013.3.4 09:49

上場企業幹部の高額報酬を制限できるかどうかを問う国民投票が3日、スイスで行われ、賛成約68%で可決した。今後、憲法改正の手続きを経て、経営陣らの報酬や退職金に上限を設定できるようになるなど株主の権限が強化される。

スイスの制度では大企業のトップらの報酬について、株主がほとんど関与できない。リーマン・ショックや欧州債務危機を通じ、企業の業績が落ち込んだ際の高額報酬の支払いに株主の不満が噴出し、国民投票が行われることになった。

(略)

経営者の報酬に対する批判という点ではアメリカなどほかの国々でもありますが,このような動きが波及するということは,制度の違いからなかなかなさそうです。

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2012年5月27日 (日)

米連邦地裁,ニューヨーク州地裁が出した三菱東京UFJ銀行のイラン政府の口座の差押えを,米国外の資産については無効と判断

JAPAN LAW EXPRESS: 米ニューヨーク州地裁,三菱東京UFJ銀行のイラン政府の口座の凍結を指示の続報です。

事件は三菱東京UFJが,不服申し立てをしたために,連邦地方裁判所に管轄がうつり,連邦地裁は,州地裁の出した差し押さえ命令のうち,アメリカ国外の資産については無効であるという判断を下しました。

これによって,イランとの貿易の決済は再開された模様です。

 

手続的な整理ですが,管轄が州裁判所から連邦裁判所へと移っています。憶測ですが,三菱東京UFJ側で移送申立てをしたのではないかと思います。

判断内容としては,国外資産については差押えは無効というごく当たり前の判断がされたことがうかがわれます。

この事件は,日本法的にいうと,イラン政府に対して債務名義を持っている,テロ事件の被害者の遺族が,イラン政府の資産を差押えようとしているものですので,民事執行事件ということになります。

そのため,口座の凍結というのは要するに差押えだったわけですが,その効力は主権の範囲を超えないという基本的なところが示されたということになるかと思われます。

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