労働法務事情

労働法に関連する記事です。

2009年11月 2日 (月)

東京地裁、ライバル会社と業務提携している会社に転籍するための一斉退職を背信的行為として退職金請求を棄却

有線放送は非常に特徴的な業界で、もとより仁義なき戦いを繰り広げているのですが、その紛争のうちの一つである社員の大量引き抜きに関連する退職金請求事件で判決が出ました。

訴えていたのは、業界2位のキャンシステムを退職して、最大手であるUSENと業務提携している会社に入社した社員たちであり、314人がキャンに退職金を請求していたものです。

東京地裁判決平成21年10月28日

東京地裁は、一斉退職を背信的行為として、退職時期が早かった289人について、重大な損害を与えることを意図しながら共謀して一斉退職したとして、懲戒解雇事由に該当するとして、退職金請求を棄却しました。

時期が異なる残りの原告については、上記のような事情が認められないとして請求を認容しています。

一斉退職:「背信的行為」退職金請求棄却 東京地裁判決(毎日新聞2009年10月29日)

有線放送業界2位の「キャンシステム」(東京都新宿区)を一斉退職し、業界最大手の「USEN」(港区)と業務提携を結ぶ会社に移った314人が、キャン社に退職金支給を求めた訴訟の判決で東京地裁は28日、25人を除く原告の請求を棄却した。白石哲裁判長は「一斉退職は著しく信義に反する背信的行為」と述べた。

(略)

判決は原告のうち289人について「キャン社に重大な損害を与えることを意図しながら共謀して一斉退職した。懲戒解雇理由に当たり退職金を受け取る権利はない」と判断。退職時期が遅かった残り25人は「共謀しておらず引き継ぎもしている」と訴えを認めた。

ライバル会社による引き抜きの論点は、労働者には職業選択の自由がある上、民法を見ても辞職の自由があります。さらに使用者にも人材獲得に関する自由競争があることから、会社に重要な人材でも引き抜いただけでは不法行為にならないのは有名なことです。

そのためにかなり悪質な行為でないと不法行為とはなりません。

しかし、本件では問題となっているのは、転籍した労働者であり、不法行為の成否が問題となっているのではなく、退職金の請求をしているというものです。

キャン社の就業規則の内容は判例全文を見ていないのでわからないのですが、標準的な内容のものを有しているでしょうから、故意に会社に損害を与えることは当然に含まれるでしょう。よって退職金が発生しないという結論を導くことは、上記のような事実関係に照らすと可能であるように思えます。

悪質な引き抜きは不法行為になりますが、それに応じて退職する側は、不法行為になるとまではいえないでしょう。

もっとも競業避止義務の問題はありますので、同義務が肯定されるような労働者であれば責任が生じることになります。よって労働者側に完全に何の責任も生じないというわけではないと考えられますが、辞職の自由、職業選択の自由から、旧使用者に対する責任が生じるのはよほど程度のひどい場合になることになると思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月26日 (月)

鳥取地裁米子支部、パワハラを受けてうつ病になったとして、勤務先とパワハラをしたとする上司を訴えた訴訟で、慰謝料などを認める

パワハラを受けてうつ病になり、休職をしてその後、病気休職の期間が長くなったことから退職した(病気休職のくだりは報道による事実関係から推認して補ったものです)という事実関係で、退職した元社員が、パワハラをしたと主張する上司と勤務先を訴えた事件で判決が出ました。

元社員は退職による逸失利益まで含んでのことだと思いますが5000万円を請求していたのですが、鳥取地裁米子支部は、パワハラを認めつつも退職との因果関係を否定、慰謝料など330万円の認容にとどまりました。

パワハラでうつ病、慰謝料命じる 「上司の行為で発症」認定(47NEWS)

上司のパワハラでうつ病になり退職に追い込まれたとして、鳥取県米子市の50代女性が、勤務先だった富国生命保険(東京)と元鳥取支社長らに5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鳥取地裁米子支部は21日、慰謝料など330万円の支払いを命じた。

村田龍平裁判官は判決理由で「女性のうつ病は上司の配慮を欠いた行為がきっかけで発症した」と認定したが、退職については因果関係を認めなかった。

判決によると、上司の元鳥取支社長や元米子営業所長は2003年、ほかの社員がいる前で仕事上のことで女性を問いただすなどした。女性は同年7月、ストレス性うつ病と診断され、休職を経て、05年に自動退職となった。

(略)

具体的な態様がよくわからないのですが、部下を問いただすやり方によってはパワハラになるという判断が下されたことになります。何か意図のあるよほど威圧的なものだったならパワハラでしょうが、この報道ではよくわからないのでなんともいえません。

事実認定以外のポイントとしては、パワハラに関して使用者の責任を認めている点に注目されます。当然ですが安全配慮義務のようなことだと思われますが、使用者責任と安全配慮義務のどちらの構成をしているのかも報道からはわからないので、追って確認したいと思います。

セクハラなどの裁判例とパラレルに考えると、安全配慮義務的な判断になるのではないかと思われます。

次に、退職との因果関係を否定した点が注目されます。これは単純に考えるとよくわからないのですが、ほかに何か事実があるのかもしれません。この点も追って検討したいと思います。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月21日 (水)

男女差別訴訟の兼松事件で最高裁が上告を棄却 差別を認めた控訴審判決が確定

労働法の雇用差別の典型的な問題で、コース別採用が男女差別であると主張された兼松事件で、最高裁が上告を棄却したことが明らかになりました。

男女賃金格差訴訟、兼松の敗訴確定(日本経済新聞2009年10月21日)

男女コース別人事による賃金格差は違法として、兼松の女性社員ら6人が同社に賃金の差額など計約3億8千万円の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は20日、社員側と兼松の双方の上告を棄却する決定をした。4人について賃金差別を認め計7250万円の支払いを命じた二審・東京高裁判決が確定した。

(略)

確認できてはいないのですが、三行半で終わったものと思われます。

労働法では重要な事件で最高裁が原審をそのまま支持して終わることが多いので、特に珍しくはないのですが、ほかの分野なら判決が書かれるような重要な事件です。

この事件はコース別採用が男女差別であるかというもので、野村證券事件という有名な裁判例があります。それによると、男女雇用機会均等法が努力から義務になって以降は、男女のコース別採用は公序に反するものになっており、コースを変われる制度が用意されており、それが合理的な内容であれば適法となります。

野村證券事件もこの兼松事件も、コースを変われる制度は用意されているのですが、やたらと高いハードルが用意されており、実質的には無理というようなものでした。

この点を重視して、違法であるという判断を控訴審はしており、最高裁はこれを是認したことになります。

事例判断に過ぎないために最高裁が一般論としての判示をしませんでしたが、コース別人事管理に関する重要な判例であると思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年10月 8日 (木)

大庄、店長に残業代支給へ

庄やなどのブランドで居酒屋チェーンを展開する大庄が、店長に残業代を支給する賃金体系に改めることを表明しました。

「名ばかり」解消へ店長ら2400人に残業代(読売新聞2009年10月8日)

居酒屋チェーン「日本海庄や」などを展開する大庄(本社・東京都)は7日、権限がないのに管理職扱いされる「名ばかり管理職」を解消するため、店長や調理長など計約2450人に対し、11月から残業代を支払う賃金体系に改めると発表した。

(略)

いわゆる名ばかり管理職といわれる問題を紛争の形ではなく、企業が自主的に解決をした事例の一つになります。

マクドナルド事件以降、チェーン店を展開する外食産業を中心に、店長に残業代を支給する動きが相次いでおり、それに連なる一件といえます。

大庄では、これまでは管理監督者が正社員の8割に上っていたとのことです。

管理監督者該当性を判断する要素は、経営と一体か、主体的に自分の労働を決められるか、待遇がふさわしいかなどとされています。

正社員の大半が経営と一体ということは、およそ観念しがたいですし、ふさわしい待遇を受けていたら人件費が大変なことになります。

正社員の8割が店長だということではないでしょうから、管理監督者全体数で計算した比率だけ取り出して、論じても仕方がないのですが、管理監督者に該当しない者を管理監督者扱いをしていたことは少なくともいえるかと思います。

第41条(労働時間等に関する規定の適用除外)

この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月15日 (火)

最高裁、松下プラズマディスプレイ事件控訴審判決を見直しか

偽装請負であるとして内部告発をして、有期で直接雇用をされたものの報復的な扱いをされて期間満了で契約が更新されなかったのを不当として雇い止めされた労働者が使用者を訴えた松下プラズマディスプレイ事件の続報です。

控訴審の大阪高裁判決は労働者の訴えを認め、大変話題となりましたが、使用者からの上告を受けて最高裁は弁論期日を指定しました。

最高裁が控訴審判決を見直す可能性が高まってきました。

「偽装請負」訴訟、二審を見直しか 最高裁、11月に弁論(日本経済新聞2009年9月14日)

パナソニックの子会社で請負社員として働いていた男性が、偽装請負を内部告発した後に解雇されたのは違法として、直接雇用などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(中川了滋裁判長)は14日、弁論期日を11月27日に指定した。

(略)

このブログでも何度か書いていますが、控訴審判決はかなり無理のある構成をしており、会社側が上告するのも当然な判断でした。

荒木先生も無理があると仰っていましたし、いまやそれが現実になろうとしています。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年9月 5日 (土)

ヤマト運輸の関連会社で就労していた自閉症の男性が自殺した事件で和解が成立

使用者には労働者に対して安全配慮義務があり、労働契約に起因して労働者に何か起きた場合、会社側が責任を負うことがあります。

もっともこれは債務不履行、不法行為といった民法上の責任として構成されるために、予見可能性などの要件が満たされないと、使用者に帰責することはできないことになります。

そこで、事例ごとにそれぞれの特性に左右された事例判断が多く積み重ねられているわけです。

そのような中で、知的障害を伴う自閉症の男性が自殺をしたという事例で職場の配慮不足が原因として使用者を相手取って損害賠償請求をしていた事件で控訴審で和解が成立しました。

従業員自殺巡る賠償請求で和解 ヤマト運輸系が見舞金(日本経済新聞2009年9月3日)

ヤマト運輸の関連会社(東京)に勤めていた知的障害を伴う自閉症の男性(当時46)が自殺したのは、上司の厳しい言葉など職場の配慮不足が原因として、母親がこの会社に6500万円の損害賠償を求めた訴訟は3日、東京高裁(大橋寛明裁判長)で和解が成立した。

和解条項には、会社側が見舞金として500万円を支払うほか、障害者を支援する人材を職場に配置したり、障害に関する社員教育を実施したりすることが盛り込まれた。和解後に記者会見した母親は「和解ができて肩の荷が下りた。今後の障害者の職場のあり方につなげてほしい」と話していた。

(略)

第一審は請求を棄却していたのですが、控訴審で見舞金という形で支払いを受けることになりました。

和解で終わったために、知的障害を持つ労働者を雇用した場合に使用者が負う安全配慮義務の具体的内容が判示されることがなくなってしまいました。

しかし、電通事件に照らして考えても、労働者の精神衛生に配慮する義務はあるでしょうから、障害に起因する者に対しても、しかるべき配慮義務を肯定できると思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月26日 (水)

マクドナルド、元店長4人が店長は管理監督者ではないとして提起した時間外手当請求訴訟で和解

特に有名になってしまったマクドナルドの名ばかり管理職訴訟は和解で終結しましたが、マクドナルドは全社的に店長に管理監督者からはずす扱いに制度を改めました。

和解に既判力があるかはともかくとしても、訴訟に加わっておらず、しかもすでに退社している場合には、この和解とその後の制度変更の結果から直接の影響を受けないことになります。

そのような元店長4名が提起していた時間外手当請求の訴訟があり、本日26日に東京地裁で和解が成立したことが明らかになりました。

和解契約の内容に和解内容を秘密にする条項が入っていることからどのような結果になったのかは定かではないのですが、マクドナルドが支払う形で決着したのだと思われます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月13日 (木)

いであ、労基署から時間外・深夜・休日手当の未払分を支払うように求める是正勧告を受ける

JASDAQ上場の準大手建設コンサルタントのいであが福岡東労働基準監督署から是正勧告を受けたことが明らかになりました。

労働基準監督署からの是正勧告について

問題となっているのは、時間外手当と休日・深夜労働の手当てに未払い分があるということで、遡及して払うことを求めている是正勧告になっています。

要するにサービス残業をさせていたということだと思われますが、このタイプの問題では怒った労働者が司法的な手段に訴えることで自体が顕在化する場合が多いですが、行政の介入を求めるのも有効な手段でよく行われています。それを確認することができる一件ですので、取り上げておきます。

ちなみにサービス残業と一口に言ってしまいましたが、時間外手当と休日・深夜手当ては一応別物です。

休日深夜に時間外労働をする場合には重複して発生しますが、所定労働がそもそも休日・深夜である場合には休日・深夜手当てだけが発生します。もっとも特殊な仕事でない限り日勤であることが普通でしょう。

労働基準法

第32条(労働時間)

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

第36条(時間外及び休日の労働)

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

②厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。

③第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。

④行政官庁は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)

使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

②前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。

③使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

④第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

なお、労働基準監督署の是正勧告について、労働基準法には何の根拠もありません。というのは、この是正勧告は行政指導に過ぎないからで、処分性もありません。すると行政の介入を求めるルートには実効性がないように思われてしまうかもしれませんが、この後には刑事罰が待ち構えています。よっていきなりハードな権力行使に行く前に是正する機会を与えようということで設けられていると考えることができます。

にほんブログ村 経営ブログ 法務・知財へ

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月 7日 (金)

すかいらーくも店長などを管理職からはずし残業代支給

マクドナルド事件以降、外食業界で店長など管理職とされてきた社員を管理職からはずして残業代を支給する動きが相次いでいますが、このたびすかいらーくでも店長などを管理職からはずして残業代を支給することになりました。

すかいらーく「名ばかり管理職」是正、3300人に残業代支給(日本経済新聞2009年8月7日)

すかいらーくが店長など約3300人を管理職から外し、残業代の支給を始めたことが明らかになった。裁量権のない管理職に長時間労働を強いる「名ばかり管理職」の問題では最大規模の是正。日本マクドナルドなどは既に残業代の支払いを始めており、これで大手小売り・外食の大半が待遇を是正したことになる。

今回、是正の対象となったのは、すかいらーくと、グループ会社のジョナサン、ニラックスを合わせた約2800店の店長と、本部の一部社員。法律上の管理職である「管理監督者」から外し、残業代を支給している。すかいらーく(グループ会社除く)の社員に占める管理職の割合は73%から6%に下がる。 (07:00)

一点注目したいのは、先日の塾校長を管理監督者ではないと判断した裁判例と類似しているのですが、従前は管理職が社員の大半であるという点です。

さすがに7割を超える社員が管理職というは一般的な感覚としてはおかしいと思われます。

また管理監督者該当性の要素である

  • 経営と一体であるか
  • 主体的に自分の労働を決められるか
  • 待遇が相応しいか

に照らして考えてみても、管理職が多すぎるということは、社員の大半が主体的に自分の労働を決められて、待遇が相応しいという会社は経験則に反する感じがしますので間接事実として意味があるように思われます。

私自身は管理職が少ないという普通の会社しか経験がないので、上記の塾の事件を見たときはかなり違和感を感じたのですが、業界によってはかなり実例のあることなのかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年8月 4日 (火)

セブンイレブンオーナーの一部が労働組合を結成と主張 本部に団体交渉を求める方針

丁々発止のやり取りが相次いでおり、フランチャイズビジネスが大きな変革のときを迎えているように思えるコンビニ業界ですが、今度はセブンイレブンのフランチャイズオーナーの一部と他のコンビニのオーナーが労働組合「コンビニ加盟店ユニオン」を結成、本部と団体交渉をしていく方針を明らかにしました。

セブン─イレブンのオーナー有志、労組結成(読売新聞2009年8月4日)

コンビニエンスストア最大手のセブン―イレブン・ジャパン加盟店の一部のオーナーらが4日、岡山市で労働組合の設立大会を開いた。

セブン本部側に団体交渉を求め、フランチャイズ契約で事実上義務付けられている24時間営業や、本部に支払っている手数料の引き下げなど契約内容の見直しを通じて労働環境の改善を図るのが目的だ。

労組の名称は「コンビニ加盟店ユニオン」で、コンビニ店オーナーによる労組結成は初めて。大会にはセブン加盟店約1万2000店のうち約230店舗のオーナーが参加。他のチェーンから約30店舗のオーナーも出席した。執行委員長には、セブン店オーナーの池原匠美さん(42)(岡山市)が就任した。

セブン本部は、オーナーと個別にフランチャイズ契約を結んでいることなどを理由に団体交渉には応じない方針だ。

このためユニオンは、各都道府県にある地方労働委員会のいずれかに救済を申し立て、団体交渉を求めることも検討する。

厚生労働省は「コンビニ店オーナーは(一般の労働者と異なり)労働の対価として本部から給料を得ているわけではないが、労働組合法上の労働者ではないと一概に言えない面もあり、地労委の個別判断になる」としている。

(略)

さて、組合が法適合組合であり、義務的団体事項に関することなら団体交渉をする義務が使用者にあります。

よって、ここで問題になるのはコンビニオーナーが労組法上の労働者であるかということと、フランチャイズ契約内容に関することが義務的団交事項といえるかという点です。

本部であるセブンイレブンジャパンは、フランチャイズ契約であり労働契約ではないとして、団交には応じない方針です。

労組法上の労働者を判断するには、労組法3条に定義がありますが、法形式から形式的に判断するのではなく、実質的に使用従属関係にあるかを判断しています。

第3条(労働者)

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によつて生活する者をいう。

使用従属関係にあるかということは、法形式にかかわらず、契約内容を一方的に会社側が決めている、会社側が強い監督をしている、強い専属関係にある、報酬に労務対価性が強いなどの要素から判断しています。

これだと、労組法上の労働者でも、労働契約法・労基法の労働者と同じになりそうですが、違いはあります。

労組法上の労働者の対概念は労組法上の使用者ですが、これについては部分的使用者概念があって直接雇用している使用者でなくても団体交渉義務が生じることがあります。よって、転じて労基法上の労働者でなくても労組法上の労働者に該当することはあり、これが大きな違いです。

よって、プロ野球選手は労基法上の労働者ではありませんが、労組法上の労働者ではあるわけです。

さて、これを踏まえて、コンビニオーナーを見ると、強い従属関係は認めることができそうです。もっとも報酬を本部からもらう関係になっていないことから、報酬の労務対価性のところにかなり大きな難がありそうです。

また、本件では加盟店は価格決定の自由などを要求しているわけですが、これらが実現されると、会社の監督が弱まることになるので労働者性を否定する方向に作用しそうです。労働者性を否定する方向への団体交渉を求めているような色彩があり、不思議な構造だと思わざるを得ません。

私見では、現在のコンビニの実態を前提としても、コンビニオーナーの労組法上の労働者性は否定されるのではないかと思います。

ちなみに、この労働組合を設立するとしているオーナーは、フランチャイズオーナーのごくごく一部にすぎません。フランチャイズビジネスは、本部に反旗を翻す「戦うオーナー」が必ず出てしまいますが、それに近い動きに思われます。このごくわずかの人たちが会社に反旗を翻すという構造はマクドナルドの店長の管理監督者該当性の事件のときも同じでした。

最近、報道からはいろいろな分野でこういう動きが相次いでいることが分かりますが、熱しやすく冷めやすい報道の一過性のせいでしばらくたつと話題にも登らなくなりますので、会社側が巧妙な手を打つこともあり真の意味での改善は図られていないように思えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年7月29日 (水)

東京高裁、業務請負で就労して過労自殺した件で使用者と業務委託元のニコンに対する損害賠償を増額

労働契約に付随する義務として使用者は安全配慮義務を負いますが、この義務の不履行には労働者がうつ病になってしまった場合も含まることがあります。

さて、今日では非正規雇用で労働契約上の使用者の事業所とは異なる所で就業する労働形態が増えています。すると本来なら使用者の安全配慮義務違反で生じるようなことが、使用者ではなく派遣先などの就業場所で生じてしまうことが増えています。

そのような事例で使用者と派遣先を提訴している事例で控訴審判決が出ました。

ニコンなどの賠償増額、7000万円支払い命令 過労自殺訴訟(日本経済新聞2009年7月29日)

ニコンの工場に派遣された業務請負会社「アテスト」(名古屋市)の元社員、上段勇士さん(当時23)が自殺したのは過重労働によるうつ病が原因として、母親の上段のり子さん(60)が両社に計1億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁であった。都築弘裁判長は、両社に計約2488万円の支払いを命じた1審判決を変更。賠償額を約4569万円増額し、計約7058万円の支払いを命じた。

判決は、上段さんの自殺前の勤務状況について(1)時間外や休日労働をしていた(2)担当外の重い業務との兼務で心理的負荷を蓄積させていた――などと指摘。「自殺の原因は業務に起因するうつ病と推認できる」と判断した。

「製造業への派遣を禁止していた当時の労働者派遣法に反していた」と言及。ニコンの従業員には指揮・監督権限があったのに、過重労働で心身の健康を損なうことがないよう注意する義務に違反したと結論付けた。(07:00)

基本の確認ですが、直接の労働契約関係のない派遣先などに安全配慮義務違反の責任を問うなら直接の契約はないことから、不法行為構成にすることが考えられますが、判例は、安全配慮義務を雇用契約の当事者だけではなく「これに準じる法律関係」がある場合にも肯定しており、債務不履行構成をとっています。

債務不履行構成でも不法行為構成でも時効などを除くとそれほどの違いはないのですが、とにかく確認が必要です。この辺の拡大している契約責任は自衛隊の事件以来、一貫した態度であるように考えられます。

本件のニコンは労務の提供場所に過ぎないののでまさにこの問題であり、上記報道からはニコン注意義務を確定しており、それに反した事実と生じた結果との間の相当因果関係もきちんと認定していることが伺われます。

なお、労働契約と安全配慮菊義務違反の当事者がずれる場合については、建築請負の場合だけは元請が労災保険法上の使用者になることが定められていますが、その他については全く規定がないので上記のような債務不履行などの民法に立ち返っての構成になります。

労働者派遣がこれだけ広がってきており、建築請負ばかりでなくなってきている以上、労災保険法による法定内補償を広げることを考えてもいいかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年7月24日 (金)

横浜地裁、塾校長を管理監督者ではないと判断

管理監督者該当性に関する裁判例に新たなものが加わりました。

塾校長の残業代認める 横浜地裁、運営側に支払い命令(日本経済新聞2009年7月24日)

横浜市や川崎市で学習塾「学樹舎」を運営する学樹社(横浜市)が、各校舎の校長などを管理職とし、時間外手当を支払わないのは不当として、元校長ら2人が同社に未払い分の支払いなどを求めた訴訟の判決で、横浜地裁は23日、同社に計約1千万円の支払いを命じた。

深見敏正裁判長は判決理由で、同社が正社員48人中、38人を管理職として扱っていたことを挙げ「いずれも管理監督者とする主張は到底採用できず、労働基準法に違反することは明らか」と述べた。(07:00)

上記報道だと、労働者の大半が管理監督者であるのは不自然ということを指摘したことが分かり、その指摘はその通りだと思います。

管理監督者該当性の判断要素は、

  • 経営と一体であるか
  • 主体的に自分の労働を決められるか
  • 待遇が相応しいか

などがいわれています。

大半の労働者が管理監督者であるというのは、上記の要素からはややずれますが、上記要素を推認させる間接事実と見ることもできます。

どのような形で言及されているのかはよく分かりませんが、大半の労働者が管理監督者というのは不自然だという一点だけで管理監督者該当性を否定したわけではないのだと思われます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年7月20日 (月)

最高裁、36協定を超えて時間外労働をさせた場合の労基法32条違反の罪について判示

労働法を勉強するときに、労基法は私法なのか公法なのかということを気にする場面がよくありますが、これは労基法に行政取締規定があったり罰則がついていたりするためです。

しかし、労基法で定められた制度に反すると必ず罰則があるわけではなく、いくつかに関してのみ罰則がついています。

36協定に反して超過して時間外労働をさせたという事案があり、労基法36条のうち36協定に関する違反には罰則がついていないのですが、これに対して検察官が週40時間の労働時間を定めている労基法32条には罰則がついているために労基法32条違反で公訴を提起して最高裁まで争われる事態になりました。

第32条(労働時間)

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

第36条(時間外及び休日の労働)

使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。ただし、坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務の労働時間の延長は、一日について二時間を超えてはならない。

②厚生労働大臣は、労働時間の延長を適正なものとするため、前項の協定で定める労働時間の延長の限度その他の必要な事項について、労働者の福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して基準を定めることができる。

③第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者は、当該協定で労働時間の延長を定めるに当たり、当該協定の内容が前項の基準に適合したものとなるようにしなければならない。

④行政官庁は、第二項の基準に関し、第一項の協定をする使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

第119条

次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第三条、第四条、第七条、第十六条、第十七条、第十八条第一項、第十九条、第二十条、第二十二条第四項、第三十二条、第三十四条、第三十五条、第三十六条第一項ただし書、第三十七条、第三十九条、第六十一条、第六十二条、第六十四条の三から第六十七条まで、第七十二条、第七十五条から第七十七条まで、第七十九条、第八十条、第九十四条第二項、第九十六条又は第百四条第二項の規定に違反した者

二 第三十三条第二項、第九十六条の二第二項又は第九十六条の三第一項の規定による命令に違反した者

三 第四十条の規定に基づいて発する厚生労働省令に違反した者

四 第七十条の規定に基づいて発する厚生労働省令(第六十二条又は第六十四条の三の規定に係る部分に限る。)に違反した者

最高裁判所第一小法廷平成21年07月16日判決 平成19(あ)1951 道路交通法違反,労働基準法違反被告事件

問題となった会社は、事実認定によると1日7時間、1ヶ月130時間といった内容の36協定を1年期限で有効に締結していたのですが、130時間を超えて2ヶ月に渡り合計53時間45分の36協定違反の時間外労働をさせてしまったという事案です。

原審は、36協定違反には罰則がついていないことから、月単位の超過は犯罪を構成しないとして週単位の超過が32条違反として犯罪になるとしつつも、検察官の訴因は月単位になっており、週単位分の超過に計算しなおした予備的な訴因変更は違反している規範が別である以上両立するとして公訴事実の同一性がないことから、訴因変更を認めず、無罪としました。

これに対して最高裁は、検察官の訴追意思の解釈を行うというよくある手法を展開して、32条違反での訴追意思があるとして訴因を補正すべき場合であるとしました。

ここまでは刑事訴訟法のおさらいのような内容ですが、この後訴因変更するべき内容について興味深い判示をしました。

32条からは1週間とだけあるのですが、その一週間の起算の仕方については特に定めはありません。月曜から労働時間を計測することを求められているのかは分からないわけです。

そこで、36協定の起算にあわせて週の労働時間を計測してよいとしました。

36協定は1日1月1年間でそれぞれ許される時間外労働時間の上限を定めておくもので、しかも年度始めとか元旦からという締結ができるとは限りません。そこで計算する期間を定めておく必要があるのですが、それに依拠して週の労働時間規制を超過するかの計算をしてもよいとしたわけです。

36協定に反した場合の法的効力が実はたいしたことはないというのは労働法を勉強された方はご存知だと思いますが、この判例によって36協定違反に根拠を有して罰則が適用される場合が肯定されました。この事例の与える影響は中々大きいのではないかと思われます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月30日 (火)

自殺した佐川急便社員の遺族がパワハラによる自殺であるとして労災申請へ

パワハラに関する事例がさらに一件発生しました。

「自殺原因はパワハラ」佐川急便社員の遺族が労災申請へ(MSN産経2009年6月30日)

佐川急便新潟店(新潟市)の男性係長(42)が自殺したのは上司によるパワーハラスメントが原因だったとして、遺族が週内にも新潟労働基準監督署に労災認定を申請することが分かった。同店の従業員約200人のうち、130人が会社に連名で原因究明を求める嘆願書を提出しており、115人がパワハラの実態を証言する文書を遺族に寄せているという。遺族側は労災認定を受けた上で、上司と会社を相手に損害賠償請求も検討するとしている。

(略)

同僚が遺族に出した証言書によると、課の朝礼で係長は課長代理から「数字を上げられないお前は係長でも何でもねえ」「仕事をしていなんだから給料を返せ」などと部下の前で罵倒され続けた。構内放送で名前を呼び捨てにされ、出席簿から名前が消された。25人の部下を管理する係長業務に加えて配送の仕事もさせられ、4月には「お前なんかいらないから行ってこい」と1週間の新人研修に2度も参加させられた。

男性は妻に「最近、みんなの前で怒られるんだ」「うつ(鬱病)っぽいかもしれない」と漏らしていた。5月16、17日は久しぶりの連休で自宅で休養したが、翌18日午前4時、仕事で東京に出張していた妻の携帯電話に「仕事をこんな形でしか解決できなかった。今までありがとう。本当に幸せだった」とメールを送信。同日早朝、新潟市東区のスーパー跡地で飛び降り自殺した。

(略)

パワハラの問題についてはまだ事例を整理して検討したことがないので他日を期したいと思いますが、上記の報道の通りだとするとまさに人格権侵害の不法行為といえ、労災に認定されるかについては別の問題もあるので即断は出来ませんが、実際の行為者や使用者の責任は十分検討に値するように思われます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月29日 (月)

東京地裁、昭和シェルで人事制度に男女差別があったと認定

昇進等の人事における男女差別は労働法の古くて新しいテーマで、女性差別を認定して賠償を認容する裁判例も出ています。

この論点の議論は、いつから男女差別が違法になるかという起点の問題で、均等法が制定されたこと、その改正と続く立法がいつから公序になったといえるのかがメインテーマとなっています。

改正均等法は、平成9年改正で募集・採用・配置・昇進において差別禁止が努力義務から強行規定になりましたので、これが施行された平成11年以降は男女差別になる制度を存置させると公序に反するというのが、野村證券事件(東京地裁平成14年2月20日判例時報1781号34頁)です。

さて、同じような人事制度における男女差別が争われた事件について東京地裁で判決が出ました。

「違法な男女差別」昭和シェルに慰謝料命令(読売新聞2009年6月29日)

昭和シェル石油(東京)の女性社員ら12人が、「女性であるという理由で賃金差別を受けた」として、同社に、男性社員との差額賃金や慰謝料の支払いなどを求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。

渡辺弘裁判長は「原告らは違法な男女差別を受けた」と述べ、原告全員に対して慰謝料計4945万円を支払うよう命じた。

訴えていたのは、同社の現職社員9人と、定年退職した2人、死亡退職した1人の遺族で、12人は高校・短大卒業後の1966~74年に旧シェル石油に入社。判決によると、同社の人事制度は、99年までは主に年功序列制度(旧制度)を採用し、その後は能力・成果を重視する制度に切り替えた(新制度)。

判決は、旧制度について「男女別の昇格管理が行われ、原告らを含む高卒、短大卒の女性社員は、男性に比べて著しい格差があった」と指摘。新制度についても、「改善されつつあるが、不当な差別は残っている」とし、1人345万~690万円の支払いを命じた。

(略)

上記の報道では、上記論点についての判断の詳細がよく分からないのですが、差別を認定したという点では同種の判断であるということはいえます。

昭和シェルについてはすでに労働者側勝訴に終わった判決が別に確定しているので、それとも整合している判断です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月24日 (水)

相模鉄道で会社分割を用いての鉄道事業の分社化をめぐり、労働組合が労働協約に基づく同意権を主張

相模鉄道が会社分割を用いて鉄道事業を分社化することを目指して、労働組合との事前協議を行っていますが、労働組合のうちの一方の相鉄労働組合が労働協約に関する争点について折り合えず、26日にストライキを構えるという事態になっています。

相鉄は神奈川県労働委員会にあっせんを申請しましたが、相鉄労組はこれに応じず、こう着状態が続いています。

神奈川県労働委員会に対するあっせん申請に関するお知らせ

相模鉄道労働組合のストライキについて

相鉄労組の主張は、会社側のリリースによると、労働協約で労働条件の変更にかかるないように関しては事前協議するという規定があり、それは事前に組合の合意を要するという意味であり、会社分割にも同じく組合の合意を要するというもので、合意するまで会社分割の手続を会社は進めることは出来ないというもののようです。

会社分割も労働協約の必要な事項に該当するので組合の合意が必要だということのようです。

しかし、事前協議という文言から、合意するまでが必要であるという解釈にはそもそも無理があります。

また、本来なら民法625条1項より、労働者の個別の同意が必要になる労働契約の使用者の変更を、個別の同意を不要とすることを実現するために会社分割が立法されたという経緯を考えると、会社分割に関して定めた労働協約を締結しているならまだしも、会社分割立法前からあるであろう普通の一般的な労働協約が、新しい立法を無意味にするというのはおかしな話です。

よって、労働組合に拒否権があるというような見解にはかなり無理があると思われます。

ちなみに最初に相鉄のリリースを読んだときには、組合はいわゆる労働契約承継法の7条措置について組合と行うときは組合の同意がいるのだと主張しているのかと思ったのですが、さすがにこれは無茶であるせいか、労働協約が適用されるのだという主張をしていました。

労働契約承継法

第7条(労働者の理解と協力)

分割会社は、当該分割に当たり、厚生労働大臣の定めるところにより、その雇用する労働者の理解と協力を得るよう努めるものとする。

会社分割に関する労働問題は、IBM事件などが明るみにでたくらいで、あまり多くの事例がなく、しかも事後的に紛争になっているものが主です。本件は総会決議の前の手続段階における労使間紛争であり、貴重なケースであるように思えます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月21日 (日)

私立高校の教諭が特別研修として生徒のいない教室を授業をさせられたのを退職強要として禁止の仮処分を申立て

能力が劣るとして特別研修として生徒がいない教室で指導教官を前に授業をさせられているのをパワハラで退職強要であるとして、私立昌平高校の教諭が、さいたま地裁越谷支部に仮処分を申立てたことが明らかになりました。

同校ではすでに2年間で75人が退職しているとされており、申立人側は人格権侵害であると主張しています。

「校長パワハラやめて」埼玉の私立高教師が仮処分申請(読売新聞2009年6月19日)

生徒がいない教室で模擬授業をさせられるなど、人格権を侵害されたとして、埼玉県杉戸町の私立昌平高校の国語教師今村寛さん(50)が18日、同校を経営する学校法人「昌平学園」を相手取り、パワハラや退職強要をやめるよう求める仮処分をさいたま地裁越谷支部に申し立てた。

申立書などによると、今村さんは昨年8月、専門科目の学力を問う「授業力確認テスト」と、生徒が教師を評価する「授業アンケート」の結果が平均点に達していないとして、小池仁校長から、授業を外れて特別研修を受けるよう命じられた。

研修は今年度1年間で、週7時間の模擬授業と他の授業の見学が課せられているが、普段は職員室に待機。トイレ以外で席を立つ時は教頭の許可が必要という。模擬授業は管理職の前で行い、「そんな話し方では生徒に伝わらない」などと注意されたほか、小池校長から「あなたが教師をするのは社会全体の不幸」などと言われたという。

(略)

労働法的に何に該当するかと考えると、業務命令権の濫用や端的に人格権侵害の問題ということになると思われます。

事実関係は申立人の言い分しかないのでよく分かりませんが、事例が出始めているパワハラの問題に付け加わるものになるかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月17日 (水)

コナミデジタルエンタテインメントで育児休業明けの社員が育児のためとして降格されたのを不服として会社を提訴

労働法の「人事」の章には会社の人事管理の手法である、昇進昇格降格、配転、出向などが含まれます。

人事権行使としての降格は、限度はありますが会社が自由に行使できるものです。

また配転権は就業規則に根拠があれば行使できるもので権限審査からして問題になりますが、実際には普通の会社なら定めをおいているので、行使可能であるのが原則でしょう。

実際には、人事権行使としての降格と配転が同時に行われて、賃金が大きく減少するということがよくあります。これらについては、すでに裁判例がありますが、この降格と配転の組合せにさらに産休育休とその後のワークライフバランスの問題が絡んだという事例が発生しました。

「育休取得で降格は違法」 ゲーム開発会社社員が提訴(日本経済新聞2009年6月17日)

ゲーム開発会社「コナミデジタルエンタテインメント」(東京・港)社員の関口陽子さん(36)が16日、育児休業から復職後に降格されたのは違法として、同社に育休前の地位の確認や減額分の賃金の支払いなどを求め、東京地裁に提訴した。

訴状によると、関口さんは1996年に入社後、人気サッカーゲームのマーケティングや海外のライセンス業務などを担当。2008年7月に産休を取り、出産後は今年4月まで育休を取得していた。

復職後に会社側は「育児しながら働くことを配慮した」と説明し、役職を降格。業務範囲を海外から国内に限定し、月収も約20万円の減額とされた、としている。

(略)

大幅な労働条件の悪化を伴う降格と配転による人事権行使を行った際、不当な目的がある場合や不利益が著しい場合には、配転命令権の濫用、人事権の濫用となって無効となることが裁判例で認められています。

これらの先例と比較して考えると、本件では、役職の降格だと思われますので、昇進の反対としての降格です。よって使用者が人事権行使としてなしうることが出来ますし、配転も配点命令権自体は肯定できるでしょう。よって問題は濫用審査ということになり月給の減少などの不利益変更がどれほどの不利益であるかを検討することになりそうです。

しかし、本件の特徴として産休育休明けであるという点があります。

法定された休暇を取得したことを理由とする不利益取扱は、その権利の行使をためらわせてしまうおそれがあることから、判例は当該不利益扱いを公序に反して無効とする傾向があります。

代表的な判例としては産前産後休暇を理由とする賞与の不利益取扱については東朋学園事件(最判平成15年12月4日労判862号14頁)があります。もっともこの東朋学園事件では賞与の支給の有無を決するにあたっての不利益取扱は無効としましたが、具体的な額の算定で産前産後休暇をとったことを欠勤扱いして額を低くすることは許容しているので注意が必要です。

この点も考慮に入れると、休暇明けに降格や配転があるとなると、産前産後休暇や育児休暇をとることをためらわせるということはいえるかもしれません。すると人事権行使を濫用と評価する方向に作用する事情ということになりましょう。

上記報道からは、会社としては子育てに配慮したことと説明しているようですが、本当の意図なのか自体がまず問題となるでしょうし、本当に労働者のためを考えてのことであっても、権利行使をためらわせるおそれがあるという上記の点は使用者の意図とは別の問題ですので、なお問題となるでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月29日 (金)

大阪高裁、JR西日本の日勤教育を違法と認定 損害賠償を増額

福知山線の事故で有名になりましたが、JR西日本で乗務員に対してミスがあった際に日勤教育という補習授業のような勤務をしているとされています。

これを受けた社員が会社を訴えた事件の控訴審判決で、大阪高裁は28日、第一審判決よりも請求を認めたを認めた原告を増やし、かつ賠償額も増額する判断を下しました。

日勤教育、二審は賠償金増額 大阪高裁、JR西に命令(日本経済新聞2009年5月29日)

勤務中にミスした社員に対するJR西日本の「日勤教育」のあり方が問われた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は28日、原告3人のうち2人について違法と認め、JR西側に慰謝料など計90万円の支払いを命じた。一審・大阪地裁は1人について違法とし、15万円の賠償を命じていた。

新たに認められたのは運転士の男性(52)。判決によると、運転士は2003年、停止位置を過ぎて自動列車停止装置(ATS)が作動した際、無断で解除し、会社に報告せず、日勤教育を命じられた。

一宮和夫裁判長は、日勤教育自体は一審に続き「必要性は肯定できる」と判断。その上で男性の日勤教育が73日間だった点を「極めて長期」と指摘。事前に期間を定めない点も「直ちに違法といえないが、いたずらに労働者を不安定な地位に置くもの」として裁量権の逸脱を認定した。(28日 23:31)

ただし、判断の内容についてはよく注意が必要です。

日勤教育の必要性自体は肯定しており、具体的な実施内容が程度を超えているというような判断になっています。業務命令権の濫用ということになると思われます。

鉄道の乗務員職場というのは職場管理がかなり難しいところですので、そのような事実に対する理解は伺われる判断なのではないかと思われます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月20日 (水)

雇止めされた日産の非正規雇用従業員が解雇無効を訴えて日産を提訴

昨年来からの業績不振で製造業を中心に非正規雇用の雇止めが相次いでいますが、日産で雇止めされた有期雇用労働者と契約を打ち切られた派遣社員が解雇無効を主張して、日産を提訴したことが明らかになりました。

元派遣社員らが日産など提訴、人員削減で雇い止め(日本経済新聞2009年5月13日)

日産自動車と日産車体で働き、人員削減で雇い止めなどとなった元期間従業員と元派遣社員の5人が12日、雇用の継続と解雇後の賃金の支払いのほか、両社と派遣元2社に1人あたり300万円の損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こした。

提訴したのは30―40歳代の男女。訴状によると、5人は2003年から神奈川県内にある日産と日産車体の工場などで働いていたが、今年2月と3月に雇い止めや派遣契約の打ち切りとなった。「長期にわたって契約を更新し、正社員と変わらない勤務実態を続けていたことから正社員と同様に扱われるべきだ」などと主張している。(07:00)

 

有期のほうについては、更新が重ねられてきたことから、実質無期になっていたか、更新への期待が保護される地位にあるという定石の主張になっていると思われます。

派遣社員の場合は個々の労働者と労働契約はありませんので、実質的には日産と直接労働契約関係にあったという主張をして解雇権濫用法理をかませる構成になっていると思われます。

典型的な非正規雇用の争い方ということが上記報道からは伺われますが、逆に言うと判例の蓄積から行くと、相当難しいことが予想されます。

有期雇用の方ですが、日立メディコ事件以来、契約更新をいいかげんにしないことは労務管理をきちんとしている会社では常識ですから、無期の労働契約と同じになったのだと評価されるような事実があることはまずないと思われます。

また、派遣の方ですが、松下プラズマディスプレイ事件で、大阪高裁が違法な派遣は労働者供給にあたるというとんでもない構成をとって救済を図ろうとしていることから、逆に言うと、派遣元の会社に実態があると派遣先との直接の労働契約関係を肯定することが難しいという法理が固まっていることが分かります。日産が特に特徴のあることをしていたのではない限り、難しい点が多々あると予想されます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月19日 (火)

東京地裁、過労でうつ病にり患したのを労災と認定

過重な仕事が原因でうつ病になったために労災の申請をしたところ、不支給の処分を受けた東芝の元社員が処分の取り消しを求めていた裁判で、東京地裁は労災を認定、処分を取消しました。

東芝元社員「負担重なりうつ病に」…東京地裁が労災認める(読売新聞2009年5月19日)

過重な仕事が原因でうつ病になったのに労災と認めないのは違法として、東芝元社員の重光由美さん(43)(埼玉県深谷市)が、国に不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。

渡辺弘裁判長は「原告は、仕事のトラブルで精神的に追いつめられ、長時間労働を余儀なくされるなどの負担が重なってうつ病を発症した」と述べ、不認定を取り消した。

(略)

労災は確定した概念ではなく、時代に応じてどんどん改められていくようなものです。

かつては中々、労災とは認定されませんでしたが、近時は厚生労働省の通達である指針を逸脱している事象でも認定されるようになってきています。

うつ病を労災に認定する例はありますが、一応適法とされる業務に従事してうつ病にり患したのを労災とするのは珍しいために、報道で注目されているのだと思われます。

ちなみに当該社員は、病気休職期間満了後に治癒しなかったとされたのか解雇されており、別訴で解雇無効を争っているそうです。

ちなみに第一審では解雇が無効と判断されており、東芝が控訴しているそうです。

これは、病気休職後の解雇の有効性という論点で、従前と同じ仕事は出来ないまでも配慮義務があるという判断をした裁判例がいくつかあります。別訴でも解雇無効とされていることから、それらと同様の判断がされたのではないかと思われます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年5月17日 (日)

宇都宮地裁栃木支部、いすゞに対して期間従業員に対する賃金の満額の支払の仮処分命令

昨年来の著名な用語となっている派遣切りですが、それらの先陣を切った方に属するいすゞで、非正規雇用従業員の仮処分の申立てが認容されました。

いすゞは有期雇用の従業員に対して期間満了前の解雇をしようとしましたが反発を受けてこれを撤回、変わりに有期雇用労働者だけ休業として、労基法26条の休業手当である6割の支給にとどめて期間満了を待つという代替案を取ったところ、仮処分の申請がされたという事件です。

労働基準法

第26条(休業手当)

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 

これに対して宇都宮地裁栃木支部は満額を支払う仮処分を命令しました。

この事件は被保全権利がなんなのだかよく分からないのですが、多分、正規従業員と異なる扱いをしたことが無効であるとしてその無効確認をするとか、その後に続く雇止めの無効確認と労働契約上の地位の確認なのだと思います。

労働者の全面的勝利であり喜ばしいという見方もあるかもしれませんが、あくまで仮処分であり、賃金の仮処分は比較的認める傾向があります。争っている間の生計が立たなくなるからです。よって、もしするならですが、その後の本訴でも非正規労働者の主張を認めるかというとこれは全く別問題でしょう。

残念ながら、労働法の世界では非正規雇用を正規雇用と別扱いをすることは完全に許容されているためです。非常に無力感を感じる事態です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月15日 (水)

内々定労働審判で企業側が異議を申立て 訴訟へ移行

内々定取消の労働審判で企業側に75万円の支払が命じられるの続報です。

75万円の支払命令に対して企業側が異議を申立てたため、労働審判法21条1項より審判は失効して民事訴訟に移行しました。

内々定段階での取消に対して金銭賠償が命じられたことに不服がある模様です。

内々定取り消し:労働審判、民事訴訟に移行 会社側異議申し立て(毎日新聞2009年4月15日)

20代の男子大学生=3月に卒業、別会社に就職=の内々定を取り消した福岡市の不動産会社に解決金支払いを命じた福岡地裁の労働審判で、同社は14日、審判を不服として異議を申し立てた。これにより審判は失効し、民事訴訟に移行する。

(略)

労働審判は、原則3回の期日で結論がでる制度ですが、結構な割合で、審判に至らず、調停で解決することがあります。そうならなかった時点で企業側の態度が厳しいことがある程度予想されますが、案の定、訴訟に移行することになりました。

金額自体はたいしたことはありませんが、内々定の取消に対して認められたということで、今後への波及効果を考えての判断があるのだと思われます。

ただ、以下に内々定とはいえ、まさに内定の日の直前の9月末のことですから、審判の判断にも十分理由があるように思われ、今後の訴訟の行方が注目されます。

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年4月13日 (月)

内々定取消の労働審判で企業側に75万円の支払が命じられる

内定取消が大きな問題になりましたが、学生が企業側を訴えて労働審判を申し立てていた事件があります。

その労働審判は福岡地裁で行われていたのですが、9月末の取消であったため内々定の取消にあたるのですが、企業側に75万円の支払を命じたことが明らかになりました。

内々定取り消し、75万円支払い命令 福岡地裁、違法と認定

福岡県の20代男性が、景気悪化で採用の内々定を取り消した福岡市の不動産会社を相手に、約370万円の損害賠償を求めた労働審判で、福岡地裁は13日、不動産会社に解決金約75万円の支払いを命じた。

(略)

審理で会社側は「正社員も削減しなくてはならない状況下で内々定取り消しは仕方がなかった」と違法性を否定。男性側は「取り消しは労働契約の一方的な解除で違法」と主張し、同社で1年働いた場合に得られる賃金など約370万円の損害賠償を求めていた。

労働審判は原則3回期日で解決ということになっていますが、この審判も3回目の期日で解決となったとされています。

この後は、異議があれば訴訟になってしまいますが、どうなるか微妙なところです。

内定なら労働契約がすでに始まっているとすることで法的には決着がついています。そこで内々定なるものはその前の段階として法的効果を生じさせないために設けているわけですが、それに対してこのような法的効果を認められてしまうのは、企業側としては異論があるかもしれません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月18日 (水)

マクドナルド名ばかり管理職訴訟は和解で終了

名ばかり管理職という語を非常に有名にしたマクドナルド店長の管理監督者性が争われた事件ですが、東京高裁において和解で終了しました。

1000万円の支払と人事上の不利益取扱をしないことで和解した模様です。

騒がせたということで不利益取扱は論外ですが、能力がないとして降格させるならありえる話ですので、その点との関連が気になるところです。もしかしてその点の人事権まで縛ったのでしょうか。

残業代未払い マクドナルドが原告と和解(日本経済新聞2009年3月18日)

日本マクドナルドが店長を管理職として扱い、残業代を支払わないのは違法として、埼玉県内の店長、高野広志さん(47)が未払い残業代など計約1350万円の支払いを求めた訴訟は18日、東京高裁(鈴木健太裁判長)で和解が成立した。原告勝訴の一審判決を事実上受け入れ、同社は高野さんが管理職に該当しないことを認め、約1000万円の和解金を支払う。

(略)

原告側によると、和解条項で高野さんが労働基準法の定める管理職に該当しないことを確認。和解金は一審で支払いを命じた残業代など約755万円に、提訴後の2006年以降に生じた残業代約245万円も上積みした。さらに今回の訴訟を理由として店長からの降格や配転転換、減給処分をしないことも盛り込んだ。(22:07)

マクドナルドはこの一件でもって一律に店長の扱いを改めたのですが、この点については異論があり、一事が万事ということで他の店長まで巻き込んでしまっていいのかという指摘がありました。

労働問題の解決としてはいかがなものかという気もしますが、マクドナルド自身は店舗をどんどん直営からフランチャイズに切り替えていますので、この一件が及ぼす影響は限定的になります。その辺も踏まえての判断なのでしょう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年3月10日 (火)

東京地裁、東和システムの「課長代理」は管理監督者に該当しないと判断

平成20年度の新司法試験にも出た論点ですが、労基法41条2号の管理監督者に該当すると労働時間管理に関する労基法の規定が適用除外になり、時間外手当の支給がいらなくなります。深夜勤務についての規定は除外されないので深夜勤務手当ては必要です。

そこで、会社でそれぞれ色々と名づけられている職制が、管理監督者に該当するのかは、最近増えている労働事件です。

このたび、ソフト開発の東和システムで課長代理が管理監督者に該当しないと東京地裁が判断したことが明らかになりました。

ソフト開発社員3人、名ばかり管理職に認定 東京地裁(日本経済新聞2009年3月10日)

「課長代理」の肩書を管理職とみなして、残業代を支払わないのは不当として、ソフトウエア開発会社、東和システム(東京・千代田)の社員3人が残業代など計約1億700万円の支払いを求めた訴訟の判決が9日、東京地裁であった。村越啓悦裁判官は「統括的な立場になく管理職といえない」として、同社に計約4500万円の支払いを命じた。

 判決理由で、村越裁判官は3人の労働実態などから管理職としての権限はなかったと指摘。「労務管理で経営者と一体的な立場にはない」とし、残業代を支払う義務のない管理職に当たらないとした。

(略)

裁判例で示された管理監督者の要件(要素?)は、

  1. 経営と一体であるか
  2. 主体的に自分の労働を決められるか
  3. 待遇が相応しいか

とされています。

上記の報道から行くと、1の点から管理監督者外統制が否定された模様です。

| | コメント (0) | トラックバック (0)